評価報告書 > 評価対象研究開発課題の個別評価

大学発ベンチャー創出推進
平成17年度採択課題事後評価報告書

4.評価対象研究開発課題の個別評価

1.研究開発課題名称

人工関節術前計画システム

2.開発代表者、起業家 氏名(所属)

開発代表者:土井 章男(岩手県立大学 教授)
起業家:伊藤 史人

3.研究開発の目的

 3次元によるシミュレーションによって、最も適合するインプラント(人工関節部品)を選定し、確実な施術を可能にする人工関節術前計画システムを開発する。このシステムの実用化により、患者に対する医療の質向上に貢献するだけでなく、今後、手術ロボットを用いた新しい手術手法への発展も期待される。

4.事後評価内容

A)成果
 複数の断層画像から3次元画像を構成し、3次元表示、セグメンテーション、形状再構成を行った上での各種形状計測、光造形装置への出力などを行える3次元画像処理の基盤ソフトウェア(Volume Extractor Ver3.0)を開発した。さらに、2次元及び3次元のシミュレーションによって、最適なインプラントを選定し、高精度な手術を可能にする人工関節術前計画システムを開発した。これらの成果をもとに、株式会社アイプランツ・システムズを設立した。
本事業期間中の特許出願数:1件
B)評価
①研究開発計画の達成度
 人工関節術前計画システムは実用化迄にはさらなる改良が必要と考えられるが、基盤技術開発を達成したことは評価できる。臨床による医師の評価をいつ迄に得る等確実なロードマップが必要である。
②知的財産権の確保
 原権利、新権利を合わせた2件で重要な技術が保護できているのか強く疑問を持つ。知的財産権の拡充強化に関しての戦略・方策を今一度検討すべきと考えられる。
③起業計画の妥当性
 堅実な事業計画で起業を終えている点は評価できるが、もう少し大きなビジネスプランがあってもよいのではないか。そのためには、医療分野の市場の特性を分析することや顧客を特定して販売戦略を明確にすることが望ましい。
④新産業創出の期待度
 人工関節の必要性は年々増大していることは事実であるが、人工膝関節だけでは新産業としての大きな期待はできない。歯のインプラントなどへの展開も進めてほしい。
⑤総合・その他
 医師の評価がまだ不十分である。本システムの効果や利便性を評価し、活用してくれる病院など有望な顧客に対して具体的なアプローチの戦略と実行が緊急の課題として必要である。その上で、製品の改善に努め、早期の普及がなされることを期待する。

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