つなぐしくみ申請
H19年12月


高効率・小型・大電力変換半導体素子

名城大学 理工学部 材料機能工学科

准教授 岩谷素顕

1.課題概要

特願2005-247824

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 GaN(窒化ガリウム)基板のFETは、ワイドギャップ半導体であり、低損失電力素子として期待されてきているが、GaN素子は、LEDやレーザー用途に開発が進み、低損失電力素子としては、SiC半導体の方が注目を浴びている。この様な中、省エネ化に必要な素子として、低損失電力素子GaN(窒化ガリウム)FETの開発を行っており、これまで、実用上必要となるノーマリーオフ型のデバイス構造(右記の構造)を研究し、特許提案を行ってきた。



2.申請時の状況

 申請時にはノーマリーオフ特性の確認や耐圧のデータがあったものの、設計上のパターンサイズが小さく、Ids(ソース・ドレイン電流)が数mA程度で、デバイス企業が連携を模索・検討するに相応しいデータが整備されていなかった。また、信頼性・環境試験についても評価結果が無い状況であった。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・「目利きレポート」で技術内容・特許・市場についての調査結果を提示するとともに、トランジスタのパターン設計条件を変えたIds電流データの不足や耐圧のパターン依存性などを指摘するとともに、耐圧特性、Ids特性、Vth(しきい値)などについて実証試験を行うためのデータ補完費を措置した。
・さらに、高耐圧SiC・GaNトランジスタ開発に対する企業動向を調査し、報告した。
・データ補完の結果を含め、JST新技術説明会にて発表した。
・Webによる技術紹介(テクニカルアイ)を実施。これを見た企業(1社)から共同研究に関する相談があり対応。


4.結果

実験値

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 追加データ取得で、右図の様な結果が得るとともに、ノーマリーオフ型FETにおいて他機関発表データ(A〜C)より優位なデータを得た。温度特性としても、約230℃までのノーマリーオフ特性を確認した。



5.申請者からのコメント

 今回のJST支援での耐圧データは、測定プローブ用端子間の空中放電の影響で、理論上、低い測定値となり、実力を評価できなかった。設計上の工夫を行えば、より高い耐圧のデータが測定できると思われる。半導体デバイス企業と連携をとって、より実用化に向けての一歩踏み出したい。興味のある企業の方は、御連絡を戴きたい。

(作成日:平成22年3月31日)

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