つなぐしくみ申請 H19年9月 |
携帯電話などの無線端末のRF出力の安定化に用いられるアイソレータの小型化に関する提案である。動作原理、構成要素は従来と同一であるが、磁気回路に特徴があり基板片面で実装できるため、小型化や他の部品との集積化が実現できる可能性のある技術である。
申請者は、「つなぐしくみ」申請以前に開催されたJSTの新技術説明会において、従来製品の1/10(容積比)という超小型かつ新構造のアイソレータの実現可能性について発表したが、高周波電磁界解析シミュレーションに基づく検討結果であるため、実用化には試作による確認が必須となっていた。このため「つなぐしくみ」による実用化支援制度を説明し申請を推奨した。申請時にはデータ補完費による試作検証と、応用研究段階においては高周波回路の3次元実装技術が必要となるため、この技術を保有する企業を探索し連携したいとの希望も出された。
小型アイソレータに関する基本特許は既に権利期間を過ぎていたが実装法など周辺特許は800件程度出願されているため、「目利きレポート」で特許調査を実施し権利化のための情報を提供した。また、実用化に向けての解決課題としてシミュレーションにおける制約条件について指摘するとともに、「つなぐしくみ」で提供するデータ補完費により、実際に超小型アイソレータを試作し基本動作特性の確認と非可逆特性の改善を実施した。その結果、小型化してもシミュレーションで予測された通りの特性が実現できることが実証されるとともに、小型化に寄与する物理パラメータも明確にすることが可能となった。これにより周波数帯域、サイズなど用途に応じたアイソレータのシミュレーション技術が確立した。またこの段階において新技術説明会で関心を持った企業、JSTが別途紹介した企業、2社との連携が進捗することとなった。
データ補完の結果新しい知見が得られ、新規特許出願1件、論文発表13件となった。また、企業2社との間で共同研究を含む連携が継続され実用化に向けて開発が進捗している。
(作成日:平成22年3月31日)