つなぐしくみ申請 H19年6月 |
直接血液に接触する医療材料においては、いかにして血栓の発生を防ぐかが重要な課題である。そのために血栓の好発部位とその要因を特定し、設計に反映させる事は医療材料改良のために極めて有効である。しかし、現在行われている動物実験などの方法では、血栓の最終的な形態が解るのみで、その発生過程は解明されない。本可視化解析技術の開発により血栓形成、増大過程をリアルタイムで直接可視化解析できる装置が得られ、血栓形成のメカニズムの探索、各種医療材料の改良に貢献するシステムを構築することができる。
申請時点では、血栓形成を観察するために最適なレーザの種類、波長などが確定していない状況であり、数種類のレーザを用いて最適な条件を検討する必要があった。血栓形成は酵素反応であり、時間にも大きな影響を受けるため、条件の調整には出来るだけ時間をかけて、酵素の反応時間の影響を除くことが望ましいが、限られた実験時間で可能な限り速く結果を得たいという相反する条件の確定をする必要があった。また、技術移転を進めるための市場調査、ライセンス先企業の探索、開発支援を希望して「つなぐしくみ」へ申請があった。
「目利きレポート」で本技術に関連した特許調査、市場調査を行い有用性の高いことを示し、実用化を促進するためには当面「つなぐしくみ」で提供するデータ補完費により、血栓形成の可視化観察を可能にするレーザ種類、波長などを確定するための調査試験を行った。その結果、血液粘性、流量、各所温度、圧力などのデータが高精度に採取でき、本試験に適したレーザの条件が得られた。これら成果については新技術説明会にて発表し、3社から個別相談があり、企業にて技術評価の状況にある。また、新しい知見は特許申請するよう助言した。
新規特許出願1件、および共同研究に向けた企業での技術評価3件を得た。
(作成日:平成22年3月31日)