つなぐしくみ申請
H20年12月


電子線照射によるバイオメディカル材料の接合技術の開発

東海大学 工学部 材料科学科

教授 西義武

1.課題概要

本技術は、電子線の照射のみで、加熱処理や接着剤など助剤を介さずに同種あるいは異種の高分子材料を接着するものである。接着剤や溶剤を用いないため、高分子材料の変質、有害物質の残留などの問題が無く、バイオメディカル材料の接着などにおいて有用な技術と考えられる。



2.申請時の状況

申請時には、接着剤を使用せずにナイロン フィルムとシリコーンゴム、アクリル樹脂、ポリカーボネートを中心とした高分子材料同士を電子線照射のみで接着できることを見出していた。しかし、一般的な技術可能性の発見段階であり、具体的な製品に即した材料の選択と設計、技術の市場による位置づけや評価は不明であった。そこで、電子線照射によるバイオメディカル材料の接合技術に関しての特許評価、市場性評価、および研究の進めるべき方向の検討を希望していた。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・「目利きレポート」で出願済み特許の弱点を指摘するとともに、高分子材料が使用されているバイオメディカル材料である人工血管を中心とする市場を調査した。特許についてはその弱点を修正し、市場の要求を考慮した補強を行う必要性を指摘し、対応についての助言を行った。
・また、現実のニーズを探り、共同研究企業との接点を得る目的でイノベーションジャパン2009(大学見本市)において技術紹介を行うこととした。
・イノベーションジャパン2009で技術紹介(企業個別相談数社)。別途、目利きレポートを参考に大学から積極的に情報発信も行い、企業からの技術指導相談(数社)があった。



4.結果

・1社と共同研究に発展し、接合技術研究を推進。
・既出願特許の弱点を補強する新規出願1件を行った。
・医療系大学への医療材料サンプル提供と研究による連携(1件)、各種接合技術での企業への技術指導(3件)、雑誌投稿(1件)へもつながっており、接合強度の改良だけでなく、さまざまな材料への展開に発展している。



5.申請者からのコメント

本技術は、JSTつなぐしくみ、イノベーションジャパン2009での紹介、更には産官学連携による移転活動を推進、バイオメディカル材料、樹脂材料等での様々な接合での具体的な案件に加え、金属材料、環境建築資材関連技術の技術指導などに発展している。

(作成日:平成22年3月31日)

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