つなぐしくみ申請
H20年8月


四足歩行動物の骨盤骨折用創外固定装置の開発

新潟大学 工学部 機械システム工学科

教授(ベンチャービジネスラボラトリー長) 原利昭

1.課題概要

四足動物の骨盤骨折は、生理的に重要な排泄と歩行機能を損なうため治療が困難となるケースが多く、特に小型のペットでは骨が細く、骨折部の固定が極めて困難であるため、死に至るケースが多い。本技術は、股関節の可動域が小さいため、動物に極めて重要な安定した排泄と歩行機能の保証が困難である既存の固定法に対して、犬や猫等の小動物の事故で内臓破裂を伴う場合に、生命維持処理を優先した骨折部の修復・矯正技術であり、これにより、後肢の可動域を確保しつつ、骨盤を安定化できる動物の創外固定装置の提供が可能となる。



2.申請時の状況

申請時点で、小動物を対象とした創外固定装置として設置時の関節可動域等の機能性は実用化に近い状態であったが、構造的堅牢性の実証、構造様式の最適化と軽量化、コスト削減に検討の余地があった。このため、実験と理論的(FEM)解析により、堅牢性、強度確認、サイズアップのための最適設計等、検討と確認を進める必要があった。さらに、協力可能な企業を探索するため、特許調査、市場調査、ライセンス先企業の探索、および開発支援を希望していた。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・「目利きレポート」で本技術に関連した特許調査、市場調査を行い、有用性の高さを示すとともに、実用化促進に向けたデータ補完費により、堅牢性、安全性、軽量化の確認のための試作と、必要と考えられた各種追加データ取得を支援した。
・成果技術を「テクニカルアイ」で公開するとともに、関連分野の企業化に有効な動物医療研究会において技術紹介を行う等、実用化に向けた継続的な支援を実施している。



4.結果

・データ補完の結果、従来治療が難しかった小動物の骨盤骨折に対して、侵襲性、耐久性、QOLの観点から、他の治療方法に比べ “ペットに優しい治療”が実現可能な有効な治療法の提供が可能になった。
・動物病院とタイアップして実験検証を実施した。



5.申請者からのコメント

この開発を基に、粉砕骨折用治療装置を開発中であり、ビジネスチャンスとしたい。

(作成日:平成22年3月31日)

Copyright © Japan Science and Technology Agency. All Rights Reserved.