つなぐしくみ申請 H20年8月 |
目標物であるレンチナンは、当初シイタケ熱水抽出物より単離、精製された物質で、β(1,3)グルコピラノシド結合にβ(1,6)グルコピラノシド結合の分岐を有する分子量50万の多糖体である。医薬品としても流通しているものであり、多くの企業の参入がみられるが、シイタケ自体の含有量を高めた商品は存在しない。本課題ではレンチナン高含有シイタケを開発することを目的としている。
申請者等の従来の研究によりシイタケ中のレンチナンの分解経路が判明しており、高含有量を保持するためには、分解経路に働く酵素群を抑制すればよいことが示唆されていた。既にターゲットとする遺伝子候補は見つかっていたが、それを実証すること及び、有用株を得るための研究資金が不足していた。また、実用株が出来た場合の市場性について客観的な評価を希望して、「つなぐしくみ」へ申請があった。
本技術の特許調査、市場調査を行い目利きレポートにて報告し、特に実用株が出来た場合の事業の実現可能性は非常に高いと評価された。特許調査に関しては、実用株が完成した場合の権利保護についてアドバイスした。 また、申請者と打合せた結果、まず@シイタケ中のレンチナン分解酵素活性調節に関わる遺伝子をRNA干渉法で発現抑制し、遺伝子組換え株取得後にA当該遺伝子変異と同等な活性をもつ自然突然変異体をシイタケにて選抜するプロセスをとることとした。つなぐしくみで提供するデータ補完費では、@のプロセスを完成させ、Aについても予備実験を行うことと決定した。また、A以降の試験費用を確保するため「A-STEP」事業への応募を勧めた。データ補完の結果、上記課題@を完了し、課題Aについても作出手順を完成した。
データ取得による課題の解決、特許性の補強、課題・ニーズの把握が得られ、これにより既に協力関係のあった企業とA-STEPの応募に至った。
(作成日:平成22年3月31日)