つなぐしくみ申請
H20年4月


新しい型の精密制御ラジカル重合の開発

京都大学 化学研究所

助教 後藤淳

1.課題概要

本課題は環境対応型の典型元素からなる新規なリビングラジカル重合触媒及び重合法を提供するものである。リビング重合法は従来の重合法に比べ生成ポリマーの物性が優れるため、近年注目されている。本課題のリビングラジカル重合触媒は、リン、窒素、アルコール、ジエン系化合物などを触媒としている。そのため、従来知られている遷移金属、イオウ化合物、ニトロキシル化合物を含むリビングラジカル重合触媒に比べて、環境、生体にやさしく、入手性、取り扱い性に優れるという特徴を有し、幅広い用途に対応できる可能性を有するものである。



2.申請時の状況

申請時には、触媒の基礎技術は完成していたが、重合可能なモノマーはスチレン、メタクリル系モノマー、重合方法は溶液重合に限られ、適用可能なモノマー種、触媒化合物、重合方法の拡大が望まれていたものの、データが不足していた。 また、期待できる用途市場についての参入企業等の調査も必要とされていた。そこで、種々の用途に対応するためのデータ取得費用、本技術が想定している市場調査、及びライセンス先企業の探索を希望して、「つなぐしくみ」へ応募があった。


3.つなぐしくみによる支援の内容

(1) 「目利きレポート」により連携候補企業を提案した。
(2) データ補完費の提供によるモノマー種、触媒化合物、重合方法に関する不足データを取得し充実化を実施した。これにより、応用範囲が大きく拡大され、特許出願による権利の確保が行われた。
(3) 支援担当者による連携候補企業に対する技術紹介と打診の実施した(技術内容に複数社が関心)。
(4) 連携企業探索のための機会提供を通し、技術紹介と企業探索を実施した(新技術説明会、テクニカルアイ、サイエンスポータルの新技術紹介への掲載)。この結果、応用展開を含め、複数の企業からのコンタクトがあった。



4.結果

・共同研究の開始 5社。
・ライセンス 1社。
・特許出願 6件。



5.申請者からのコメント

JSTならびにJST支援御担当者様の熱心で温かいご支援に、深く御礼申し上げます。

(作成日:平成22年3月31日)

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