つなぐしくみ申請
H19年9月


内視鏡下手術用フレキシブル鉗子の開発

名古屋大学大学院 工学研究科 機械理工学専攻

教授 村松直樹

1.課題概要

短冊状の紙を折り曲げ重ね合わせた両端を指で擦り合わせると先端が曲がる。この現象を利用して複数の折り曲げ部材を対向させると、変位拡大機構を要しない単純で摺動部のないフレキシブルマルチフィンガーが実現する。この把持技術を応用することにより、低侵襲外科手術用鉗子として、柔らかくもろい組織の把持や操作性の良い繊細な手術用器具の開発を目的とする。



2.申請時の状況

本技術の基本的な原理、および把持性能の確認はほぼ終了していた。しかし、操作性の良い繊細な手術用器具への可能性については検証すべき要素を多く残していた。特に鉗子としての小型化、最適機構化、低コスト化などの課題検討、また共同研究企業や市場性などの情報について十分に調査検討する必要があった。そこで、本技術分野に関する市場調査、特許調査、ライセンス先企業の探索、及び開発支援を希望していた。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・「目利きレポート」で本技術に関連した特許調査、市場調査を行い有用性の高いことを示し、実用化を促進するために当面「つなぐしくみ」で提供するデータ補完費により、本技術の鉗子としての可能性を得ることにした。
・新技術説明会を通して、共同研究相手の企業を広く求めた(鉗子以外の可能性)。個別相談3社対応。
・成果を「テクニカルアイ」にて技術公開した。



4.結果

・追加データにより、多指化、交換可能構造のユニット化ができたが、鉗子への適用のために、更なる開発の必要性が明らかになった。一方、より広範囲な利用性を持つことも判明した。
・手術用具としてではなく、特に精密作業を行う補助具としての利用に関し、企業とのタイアップが実現した。
・共同研究企業とJST公募事業(A-Step)へ応募した。



5.申請者からのコメント

手こそ仕事の原点であり、把持技術の応用は医用機器のみならず、食事補助具やロボットハンドなど福祉機器や産業機器への可能性も大きくあると思います。

(作成日:平成22年3月31日)

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