つなぐしくみ申請
H19年6月


細胞が放出する生理活物質の可視化デバイス構成技術の開発

豊橋技術科学大学 物質科学科

講師 吉田祥子

1.課題概要

細胞が放出する生理活性物質の放出量を、空間的な濃度分布として測定・可視化し、臨床、検査・分析機器などに利用する技術である。生理活性分子を酵素で反応させ、発生するインジケータ分子を面近接場光発光装置によって励起し、発光する蛍光を撮像して生理活性分子の分布を二次元的に観測するものである。本技術では、酵素反応を用いるため、反応特異性が高く、かつ生理活性物質の放出量を空間分布として測定可能となる。



2.申請時の状況

実験室で測定装置を手作りで組上げ、技術の有効性は確認していたが、測定装置としては未完成であり、二次元可視化デバイスの製品化に向けて開発を手がける企業は見つかっていなかった。そこで、本技術が想定している市場の調査、および開発企業の探索を希望して、申請がなされた。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・目利きレポートによる市場調査、企業調査の結果、数社が同装置を開発する基本技術を有するだけでなく、事業としても関連付けられるものがあることが分かった。
・調査によって得られた候補企業の中から新規製品開発に意欲の高いA社に大学との共同研究を依頼した。
・追加データおよび試作品のための研究資金を援助し、A社で測定装置を設計・試作し、大学ではその試作機で測定データ収集を行い、測定装置としてハード、ソフトの両面から開発を進めた。



4.結果

・A社と共同研究・開発が成立し、装置開発が進み、新規に特許1件を出願した。
・試作品の設計・製作と追加データの取得を行い、実用化に向けて進展した。
・装置のユーザー側であるB社、C社などと具体的な応用を設定した共同研究の話が進行中。



5.申請者からのコメント

大学で生まれた技術の芽に、資金だけでなくマネジメントや異分野とのつながりを提供していただき、思わぬ分野にまで応用の機会が広がった。さらに産学の連携事業として進めて行きたい。

(作成日:平成22年3月31日)

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