つなぐしくみ申請
H19年6月


高感度金属蒸着光ファイバSPRバイオセンサーシステムの開発

鹿児島大学 工学部 応用化学工学科

教授 肥後盛秀

1.課題概要

表面プラズモン共鳴(SPR)現象に基づく金属薄膜を蒸着した光ファイバ型屈折率測定装置であり、さらに金属膜の上に種々感応膜を付与することにより特定の化学種、生体物質などの選択的検出、測定に使用できる技術である。



2.申請時の状況

申請時には、既にアルコール/純水の屈折率測定からアルコール濃度を算定する研究が進んでおり、アッベの屈折率計と同等あるいはそれ以上の屈折率測定感度が得られていた。酒類のアルコール濃度計として応用が考えられているものの、製品化に向けて開発を手がける企業が見つかっていなかった。また、これまでも金属蒸着膜の上に選択透過膜や選択吸着膜を形成する技術は存在していたが、バイオセンサーシステムに応用するには感度が不足していた。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・「目利きレポート」で特許性の評価および屈折率計、アルコール度数計の市場、メーカーなどの調査結果を報告した。
・金属蒸着膜の上にアルコールなどの選択透過膜を形成すると、蒸留酒(アルコール/純水系)だけでなく日本酒などの醸造酒(アルコール以外に屈折率に影響を与える物質が混在する系)でもアルコール濃度だけを正確に測ることができるため、技術の適用範囲が拡大することが想定され、新規特許出願への助言をした。
・同時に、データ補完費により、選択透過膜を付与したアルコールセンサの研究を始めた。
・技術内容をJST新技術説明会で発表した。



4.結果

・新規特許出願1件。
・データ補完の結果、醸造酒においても精度良くアルコール濃度が測定されることを実証し、光源レーザの安定化やデータ処理技術の工夫により感度のS/N比も数十倍に向上した。
・数社から選択透過膜を付与したセンサに関する問い合わせがあり、A社と共同研究、B社へサンプル提供をするに至った。
・また平成20年度のJSTシーズ発掘試験に応募し、採択された。
・エタノールセンサに関する技術指導1件。



5.申請者からのコメント

本事業とシーズ発掘試験のご支援を賜り、本技術を完成させ、特許として出願することができました。また新技術発表会において本技術を公開することができ、A社との共同研究を実施し、新しいセンサーとしての実用化の目処を立てることができ感謝しています。

(作成日:平成22年3月31日)

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