つなぐしくみ申請
H20年12月


改変CBBを用いた新規Clear Native電気泳動法

ERATO 岩田ヒト膜受容体構造プロジェクト

研究員 日野智也

1.課題概要

 膜タンパク質の分子量や会合状態を天然な状態や酵素活性を保ったままで調べる方法として、Blue-Native電気泳動法が多用されている。本技術は、Blue-Native電気泳動法と同様に、しかしながら無色の状態で膜タンパク質を泳動する方法であり、銀染色の高感度化や蛍光検出を可能とする。



2.申請時の状況

 本技術は、ERATOの岩田ヒト膜受容体構造プロジェクトで創出されたものである。既にプロジェクト内で実際に使用されており、従来のBlue-Native電気泳動法より優れたデータを示していた。技術的にはほぼ完成していたが、実際にニーズがどれぐらいあるのか、実用化され得るのかは不明であった。そこで、出願した特許の権利化の可能性及び、技術移転候補先企業の紹介を希望して、「つなぐしくみ」へ申請があった。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・ 申請した特許は用途特許であったが、物質でも権利化できる可能性があることが判明し、申請者へアドバイスした。また、今後の展開を考慮してJSTの特許出願支援制度に申請することを勧め、その結果支援が得られたため、物質と用途を含めた内容でPCT出願することができた。
・ Blue-Native電気泳動法試薬をキット化して販売している外資系大手試薬会社へJSTがコンタクトを取って、本技術を紹介した。現在、当該会社とCDA及びMTAを締結し、サンプルの評価結果を待っている。



4.結果

 PCT出願1件、企業とのCDA、MTA契約1件の成果を得た。


5.申請者からのコメント

 コーディネーターのアドバイス、迅速な候補企業へのアプローチ、特許に関する実際的な調査を高く評価する。大学の基礎研究では特許の調査は十分できないし、ライセンス候補企業に直接アプローチすることは難しい。特許出願をしても、その後どのように進めたら良いか不明であった。また、本技術は本来の基礎研究の周辺技術であるので、調査に時間とエネルギーを割くのはさらに困難であった。このつなぐしくみ制度を継続してほしい。(申請者へのアンケートより)

(作成日:平成22年3月31日)

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