つなぐしくみ申請 H20年8月 |
従来、エックス線を利用した血管造影用造影剤には陽性造影剤としてヨード造影剤が、陰性造影剤として炭酸ガス等が使用されている。ヨード造影剤は描写能に優れているが、腎毒性やアレルギーの副作用があり、陰性造影剤の炭酸ガスは副作用がなく無毒で安全であるが、描写能はヨード造影剤より劣っている。本技術は炭酸ガスをマイクロバブル化して使用することによって、血液の流れに追従した挙動を描写できる造影剤をヨード造影剤の代替品として開発するものである。
申請時点では、①炭酸ガス造影を用いた透析シャントに対する経皮的血管形成術、②炭酸ガス造影を用いた経皮的椎体形成術、③マイクロバブル化炭酸ガスの X 線撮影に関して研究成果を得ていたが、マイクロバブル化炭酸ガス造影剤のファントム実験、動物実験による試験が未着手であり、実用化に向けてのデータ採取が重要な段階であった。また、開発の協力を得られる企業の探索も必要であり、本技術が想定している市場調査、ライセンス先企業の探索、特許調査、および開発支援を希望して「つなぐしくみ」へ申請があった。
「目利きレポート」で本技術に関連した特許調査、市場調査を行い有用性の高いことを示し、実用化を促進するために「つなぐしくみ」で提供するデータ補完費により、実験検証を行った結果、マイクロバブル化炭酸ガスをエックス線診断用造影剤として使用できる条件を決定することができ、これが描出能力の高い造影剤であることが判明した。また、該当する申請特許内容に関してより成立の確度の高い内容に変更するよう助言を行った。本開発の成果については「テクニカルアイ」にて技術を公開した。
特許出願1件。マイクロバブル化炭酸ガスをエックス線診断用造影剤として臨床へ導入できる可能性が高まった。
血管内でマイクロバブルを大量に発生させるためマイクロバブルジェネレーターカテーテルを使用する。これは安価に製作できディスポーザブルタイプのカテーテルとして市販できる製品となりうる。血管内で大量に発生させるマイクロバブル化炭酸ガスの使用用途はX線造影剤にとどまらず需要は大きい。
(作成日:平成22年3月31日)