つなぐしくみ申請
H20年4月


ナノ秒極性反転パルス放電によるディーゼル排ガス中 NOxの高効率除去

愛媛大学大学院 理工学研究科 電子情報工学専攻

准教授 門脇一則

1.課題概要

 高電圧で充電された同軸ケーブルの一端を短絡したときに他端に発生する高速反転パルスでプラズマ反応器を励起すると、通常の電源に比べて著しく低い電圧で放電を励起することができる。その結果、高効率・省エネルギーのプラズマ反応系が構築できるので、それを環境浄化システムに応用する。



2.申請時の状況

 申請時には、本技術をディーゼル排ガス中のNOx除去に使用して高効率な処理が可能であるというデータを取得済みで、その実用化を進めるためにデータ補完費支給、共同開発企業情報の提供、NOx除去以外の応用先に関する情報提供等を希望して、「つなぐしくみ」に申請があった。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・ 応用先の提案
- 特許出願動向および市場調査を基に、本技術の特徴を生かすには競合技術が多いディーゼル系よりもプラズマ利用実績のあるVOC処理や水処理の方が実用化には近い可能性が高いことを目利きレポートで指摘。その方向でデータ補完を実施、VOC処理に関して高効率な結果を得た。
- 上記とは別に、市場調査から市場が大きいことが判明しているオゾン発生装置への応用可能性検討の為JSTにて関連特許出願動向を分析、連携候補企業および関連技術課題の抽出を実施。

・ 企業への技術紹介と連携活動支援
- イノベーションジャパンにて企業向けに技術説明・展示を実施、それをきっかけにA社、B社からコンタクトがあり共同実験を開始。B社とはNDA締結し企業所有の実験装置で実用系でのデータ取得を実施。その際、企業との協議に同席、進め方やNDA契約等に関してアドバイス・支援を実施。
- A社との協議において関心ある応用分野における重要課題が不明確であることが問題になったため、JSTにて文献調査および特許調査により重要課題を抽出・整理。その結果を申請者およびA社にフィードバックし、共同研究の目標設定に活用。
- データ補完にて取得したVOC処理関連データを中心に新技術説明会にて技術紹介。そこでコンタクトがあったC社を後日JSTが単独で訪問し、展開可能性について意見交換、ニーズ把握を実施。



4.結果

 B社とNDA締結し共同実験を実施、A社と共同実験にて実用性を評価中。


5.申請者からのコメント

 研究者単独での市場分析には限界があるので、日頃から研究の進むべき方向に誤りが無いか心配でした。この制度を活用することにより研究の方向性を再確認することができたことが非常に良かったです。ありがとうございました。

(作成日:平成22年3月31日)

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