つなぐしくみ申請 H20年4月 |
本研究は、新規関節リウマチ(RA)モデルマウス(D1CCマウス)の開発に関する課題である。D1CCマウスは、関節軟膏特異的にMHCクラスIIの発現を誘導したトランスジェニックマウスである。従来の動物モデル(コラーゲン誘発関節炎モデルマウスなど)と比較して、慢性的かつ進行性であり、ヒトに発症する関節リウマチ病態に類似した病態を示す。
従来の関節炎動物モデルとは異なり、関節炎の早期の病態像の観察が可能であることが示唆されていたが、病態動物モデルとしての位置付けを明確にするデータが不足していた。また、遺伝子改変動物(D1CCマウス)の実用化に向けて準備は進められていたが、実験動物モデルとしての背景データの蓄積とともに、生産性の向上、実験動物として品質および安定供給体制を確保する必要があった。
「つなぐしくみ」で提供するデータ補完にて、早期発症の病態解明、既存の抗リウマチ薬での評価、ヘテロまたはホモマウスの同定法、およびホモマウスの作製が実施され、その結果、A社への技術移転につながった。A社では、遺伝子改変動物の生産・販売に関する農水省の承認も取得し、D1CCマウスの販売が開始された。さらに、データ補完期間中に新しい知見が得られ、企業B社、C社および他大学との共同研究またはその準備が進められている。
また、申請者からの要請に対応して、上述した新たな共同研究の開始に先立ち、研究の方向性を確認するために、新規の関節リウマチマーカー候補に関連する事項について、特許調査を支援した。
ライセンス1件、製品化1件、及び共同研究2件の成果を得た。
(作成日:平成22年3月31日)