つなぐしくみ申請
H20年4月


高い大気浄化能力をもつ緑化植物新品種の実用化

広島大学大学院 理学研究科

助教 高橋美佐

1.課題概要

 環境浄化能の高い植物の創出を目指しイオンビームの照射による突然変異株の創成研究を行った結果、NO2吸収能が高いイタビの変異株(KNOX)を得た。イタビは蔓性植物で壁面緑化適性を有しているという特徴を併せ持つため、変異株を「NO2浄化能を有する緑化素材」としての事業に結びつける。



2.申請時の状況

 NO2吸収能が高いイタビの突然変異株の創成に成功し、技術シーズとしてはほぼ完成し、実用化に向けて産学連携マッチング機会等での発表、新聞発表なども行っていたが、製品化に向けて実用化開発を手がけてくれる企業との連携まで進めることが出来ていなかった。そこで、本技術による緑化事業化を目指した実用性試験および開発に協力してくれる企業の紹介等、実用化へ向けた支援を希望していた。


3.つなぐしくみによる支援の内容

・ 「目利きレポート」にて、壁面緑化は有望市場でありそこに環境浄化能を有するという付加価値をつけられる本技術シーズは事業化の可能性が高いこと、業界の構造から連携先企業として植物栽培の技術と壁面緑化技術の両方を有する企業が最適であることを指摘。
・ 過去に申請者とコンタクトがあった企業群を中心に業務内容や連携に対する姿勢等を調査、申請者と相談して連携先として最も有力な企業A社を抽出。
・ A社の担当者に連絡をとりJSTにおいてJST単独で面談、その結果A社の業務内容が実用化に向けて最適であること、ライセンス条件さえ折り合えば技術移転の可能性が高いことなどが判明。
・ ライセンスに対する大学側の考え方を確認した上で、申請者とA社へのライセンス条件を協議。
・ A社と大学とのライセンス予備交渉の場を設定、JST側で会議の進行を行った結果、契約の基本合意に至った。その際、実用化までの課題整理とロードマップを作成し、関係者間で実用化までの進め方の共有も併せて実施。
・ その後、申請者をはじめ関係者の努力により、ライセンス契約、および突然変異種の譲渡も完了し、現在「販売予約受付中」。



4.結果

 ライセンス契約締結および事業化開始(販売予約受付中)。


5.申請者からのコメント

 担当スタッフのご支援のおかげで実用化に至ることができました。担当スタッフの皆様に心より感謝いたします。

(作成日:平成22年3月31日)

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