つなぐしくみ申請 H19年12月 |
本課題は、光照射でイオン開裂する特性を有するイオン化標識剤に関するものである。本標識剤で試料を標識すると、そのものがマトリックスとしても作用しフラグメントイオンが殆ど生成しないため、定量的質量分析に使用が可能である。特に、近年進展してきている糖鎖研究開発の分野での質量分析において有効な分析手段になる可能性が考えられる。
糖鎖関連分野への試薬販売の可能性が考えられたが、最終的には光開裂性イオン化標識剤により糖類縁体を標識し、グリコシダーゼの反応を質量分析装置により簡単に追跡可能とする「グリコシダーゼ解析キットの開発」の実用化を目標として研究開発を続行している。
分子標識剤は基礎的にはほぼ完成していたが、製品化に向けて開発を手がけてくれる企業は見つかっていなかった。そこで、本技術が想定している市場調査およびライセンス先企業の探索を希望して、「つなぐしくみ」へ申請があった。
JSTによる市場調査の結果、A社、B社がライセンス先候補として考えられたため、JST支援担当者が直接候補企業に技術紹介を行い興味の有無について打診を行った。その結果、1社より強い興味があるとの返答を受け、その情報を大学につなげてライセンスに至り、光開裂性分子標識剤として販売を開始した。
また、別の用途での連携企業探索を目的としてJST新技術説明会にて発表した。その結果、複数社から個別相談があった。そのうち、C社へのサンプル提供を経て共同研究契約に至った。
光開裂性分子標識剤としての販売及び共同研究。
学術的視点から研究を進めていましたが、つなぐしくみの支援を通じて、民間の考え方を知る貴重な機会を得ました。さらに新しい展開を目指して基礎研究を進めたいと思います。
(作成日:平成22年3月31日)