報告書 > 研究開発課題の個別評価



大学発ベンチャー創出推進

平成15年度採択課題事後評価報告書

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(1)電気抵抗式地下埋設物探査計の開発

 

開発代表者

牛島 恵輔 (九州大学 教授)

起業家

池田 直継

 

1 ))

研究開発の概要

地下のガス管や水道管、トンネル壁面内の亀裂や空洞、埋蔵文化財等の埋没遺構、紛争終結地域の地雷などの探査に広く適用でき、かつ現在一般に使われている地中レーダ探査法の持つ探査深度を変えることができず物性値も推定できないといった種々の欠点を克服した、ポータブルで汎用性の高い電気抵抗式地下埋設物探査計を開発する。 

2 ))

事後評価内容

A)成果
種々の地下埋設物に対応できるアレイ型およびグリッド型の多チャンネル電極を製作し、パソコンを用いて高速に計測するスキャナなどの設計・制御プログラムを開発した。さらに砂漠用(乾燥地用)の加水型電極、海洋探査用の水中電気比抵抗センサー、データを無線で遠隔地のパソコンへ伝送して収集する機器などを試作したほか、これらのデータを解析することにより、等値面図を作成したり3次元形状を抽出する3次元可視化プログラムソフトを開発した。
これらの成果をもとに、
株式会社GETSを設立した。

特許出願数:国内出願数1件

 

B)評価

計画の達成度

センサー部の改良、データ処理ソフトの開発(可視化)、データ伝送システムの完成等ほぼ計画通りに終了した。また、装置全体の出来具合も当初の実験装置から改良され、商品として使用に耐えうる段階に達した。さらに、データ伝送システムの構築に注力しこれを完成させた。

知的財産権

多くの要素技術の開発を進めてきたが、特許件数が少ない。また、ビジネス展開の戦略としての知的財産権対策がとられているようには見えない。地雷探査に関する特許は出願されたが、これに加えて、システム及びソフトウェアの特許確保が望まれる。

起業計画

主な市場は、遺跡探査と地雷探査であろうが、前者は他社との競合が予想されるので、特にマーケティングに力を注ぐ必要がある。地雷探査に関しては、装置及びマーケッティング両方のパートナーとの協業が重要になる。

新産業創出

特に大きな産業は期待できないが、社会的に貴重な技術でもあり、長期にわたり進めるべき事業である。

総合・その他

特殊なニーズはあっても、市場が極めて小さいこと、市場の拡大は望めないことなどから、この種のビジネスを単独で行うことは極めて挑戦的である。今後の方向性としては、販売能力のある外部パートナーと協業することや、技術移転などを視野に入れてビジネスを展開することが望ましい。

 

目次に戻る



This page updated on September. 10, 2007

Copyright©2007 Japan Science and Technology Agency.

www-admin@tokyo.jst.go.jp