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大学発ベンチャー創出推進

平成15年度採択課題事後評価報告書

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(1)家庭用有機物資源化装置(オーガニックシステム)の研究開発

 

開発代表者

石崎 勝義 (早稲田大学 教授)

起業責任者

正木 晴彦

 

1 ))

研究開発の概要

バイオトイレ、尿分離トイレ、尿硝化装置など、種々の工夫によってし尿を本来の正しい有機物資源へと循環・復帰させるトイレシステムの研究・開発を行う。水洗トイレや下水道システムによる河川、湖沼、内湾の汚染など、損傷された生態系を再び持続可能にするシステムとして期待される。 

2 ))

事後評価内容

A)成果
オガクズ(担体)でし尿を撹拌したり、担体として微生物資源を使用するなどの工夫を凝らした「尿分離バイオトイレ」を開発し、ポータブルバイオトイレとして養護施設、キットハウスに適用したほか、更にし尿を処理する「バイオトイレ」とし尿以外の家庭雑排水を処理する「雑排水浄化装置」を組み合わせることにより、家庭排出水を全て自然に還元するゼロエミッション化技術「資源循環型排水処理装置(オーガニックシステム)」を開発した。
  これらの成果をもとに、
オーループ有限会社を設立した。

特許出願数:国内出願数1件

 

B)評価

計画の達成度

バイオトイレの小型化目標1/5は1/2に止まった。「団粒ろ材の研究」は中断され方向転換された。浄化槽に求められる新技術である「高度処理」に関しては、途中で開発された「硝化技術」により可能性が見いだされた。バイオトイレを実用化し、オーガニックシステムと共に果敢に事業展開を進めている。

知的財産権

システムとしてまとまっている技術ではあるが、要素技術にオリジナリティーが乏しいので、特許マップを作成して技術の強み弱みを把握しておくことが望まれる。

起業計画

起業し少量ながら最初の販売には成功している。しかし、販売後のメンテナンスや消耗品の供給などについての詳細な計画が無く、今後どのような体制で実施するのかをさらに検討する必要がある。

新産業創出

期待度は大きいが、それを実現する手段が示されていない。特に、畜産関係のし尿処理は、社会的にも重要で大きな事業であるが、本技術をどのように発展させるか工夫して取り組むことが望まれる。

総合・その他

目標達成度、知的財産権の確保など、初期の目標とかけ離れた成果に止まったが、世の中のニーズを見極めて、「オーガニックシステム」と「バイオ・トイレ」の2商品を開発し、これらを組み合わせることで事業展開を進めている。地方公共団体の事業に食い込み、新しい市場を形成しようという意気込みは大いに評価できる。「し尿の資源化」に関する重要性は十分に認識できたが、今後硝化装置をベースにこれを実現するためには、特許戦略を遺漏なく進めることが特に重要である。

 

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This page updated on September. 10, 2007

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