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大学発ベンチャー創出推進

平成15年度採択課題事後評価報告書

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(1)多次元流体計測システムの研究開発

 

開発代表者

西野 耕一(横浜国立大学 大学院工学研究院 教授)

起業家

武田 伸一郎

 

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研究開発の概要

流体速度を効率的かつ高精度で計測する多次元流体計測システムの開発を行う。3次元CADデジタルデータから製作した可視化計測モデルに屈折率マッチング技術とPIV(粒子像流速計測手法)を組み込んだ多次元流体計測手法を適用することにより、流体挙動を3次元的かつ高時間分解能で(即ち、多次元で)計測することが可能となり、自動車、空調機器、電子機器、家電、血流診断、医用機器など多岐にわたる分野での利用が期待される。 

2 ))

事後評価内容

A)成果
高速度カメラ2台と高繰り返しパルスレーザを用いたダイナミック・ステレオPIVシステムを開発し、10,000ポイント×100断面における流体速度を3%以下の誤差で5時間以内で測定することを可能とした。ステレオ計測と屈折率マッチング技術を融合させることにより、光学系の調整からカメラパラメータ算出までの工程を2時間以内で終了し、一つの可視化計測モデルの多次元流体計測を1日で完了できるよう効率化した。さらに、幾つかの複雑流路モデルを製作し、多次元流体計測手法を適用することにより、計測精度などを定量的に評価しこの手法の有効性を確認した。これらの成果をもとに、株式会社フローテック・リサーチを設立した。

特許出願数:国内出願数2件

 

B)評価

計画の達成度

当初の研究開発目標をほぼ達成している。実用化目標に関しても、計画が現実的で技術的な課題を解決している。実用化に関してはマニュアルの制作が未達成とのことであるが、これは手数だけの仕事であり大きな支障にはならないと考えられる。

知的財産権

ニッチではあるが、競争の激しい分野であり、特許がまだ十分に確保されているとはいえず、より多くの個別技術に関して特許出願して権利化しておくことが重要である。

起業計画

数多くの企業を訪問して市場調査をして、受託流体計測という新規事業の可能性を確認している。すでに起業して、受託流体計測と共に流体計測システムの売上額も順当に伸びており、起業計画が妥当であることが示されている。

新産業創出

この分野では日本初の企業であり、技術のユニークさとビジネス推進力の堅実さで、世界に誇る日本の自動産業等に貢献する可能性が高く、新産業としての期待は大きい。流体計測という基本的な技術であるので、関連する分野が広く、ニーズの拡大が可能であるばかりでなく、先端分野の技術開発推進にも貢献することが期待できる。

総合・その他

起業が成功し、市場はニッチであるが、今後も継続的に事業発展が見込まれる。シェアを確保できる可能性が有り、対外アピールの仕方と新規マーケットの開拓が課題と考えられる。

 

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This page updated on September. 10, 2007

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