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大学発ベンチャー創出推進
平成15年度採択課題事後評価報告書
4.
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研究開発課題の個別評価
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(1)光固定化法によるマイクロアレイ型バイオチップ
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開発代表者
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:伊藤 嘉浩(独立行政法人理化学研究所 主任研究員)
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起業家
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:大村 馨
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研究開発の概要
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抗原抗体反応を利用した血清中の特異的な抗体を検出できるバイオチップと、複数の因子を同時に、かつ高感度に検出できる検査システムの開発を行う。DNAやタンパク質など様々生体分子を光反応性マトリックスを用いて同一の方法で一斉に固定化することが可能となり、チップによるアレルギー診断や自己免疫疾患診断等への利用が期待される。
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事後評価内容
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A)成果
非特異的な相互作用を減じて生体分子相互作用を観測できる光固定化マイクロアレイ・チップの基盤技術を確立し、多種類のアレルギー抗原(アレルゲン)をマイクロアレイとして光固定化したチップと上記チップを用いたヒト血清中のアレルギー関連抗体や自己免疫疾患関連抗体を定量できる自動化装置を開発した。さらに、表面プラズモン共鳴(SPR)測定用の光固定化チップと水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定用の光固定化チップの開発にも成功した。これらの成果をもとに、ヒラソルバイオ株式会社を設立した。
特許出願数:国内出願数4件、外国出願数2件
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B)評価
計画の達成度
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:光固定化剤および自動測定装置・ソフトの開発は終わっているが、当初計画の100種類のアレルゲンや癌マーカー・ホルモン認識抗体などの固定化目標は大幅に縮小され、14種類のアレルゲンの固定化にとどまり、今後の課題として残った。
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知的財産権
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:基本特許と周辺特許への集中化は妥当と考えられるが、実施許諾面での問題や固定化後のステップでの知的財産権の獲得が今後の課題である。
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起業計画
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:バイオチップのハード面に関しては既に大手が参入しており、対抗策や棲み分けなど今後どのような戦略をとるかについて具体化する必要がある。コンテンツ開発を重視する計画は妥当であるが、現在取り組んでいる共同研究先との連携強化を図り早期具体化が重要である。
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新産業創出
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:バイオチップの分野全体の成長は期待できるが、固定化技術だけでは産業化は難しく、チップ産業ではコンテンツ開発が重要な鍵を握っているので、早急な検討を行うことを期待したい。
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総合・その他
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:基盤技術の確保は行われているので、製品化のスピードを上げることが必要である。日本のチップ企業は製品化のスピードが遅いので、本ベンチャーに期待したい。コンテンツは全領域をカバーすることは不可能なので、バイオマーカの選択などに十分配慮し、ある領域に限定してでも、他の技術や製品と比較した際の検査内容(検査項目数、早さ、感度など)や価格面での優位性を明確にして早期の実用化を優先することが重要である。
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