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大学発ベンチャー創出推進
平成15年度採択課題事後評価報告書
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研究開発課題の個別評価
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(1)全方位ビジョンを用いた医療技術の開発
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研究代表者
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:八木 康史(大阪大学 教授)
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起業家
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:越後 富夫
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研究開発の概要
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新しい消化管検査技術として注目を浴びるカプセル内視鏡で問題点として指摘される、撮影後の画像検査に長時間を要する点を解決可能な映像診断支援技術を新たに開発する。また大腸内視鏡検査において患者に負担を与えずに死角になりやすい部位も撮影可能な、通常の前方視野と側後方視野を組み合わせた、視野制限の少ない大腸内視鏡用全方位光学系も開発する。
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事後評価内容
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A)成果
カプセル内視鏡用の映像診断支援技術開発においては、見すごしのリスクの大きい映像の早送りは行わず、映像中での動きや色変化の度合いに基づき再生速度を自動で調整する技術を考案し、従来の方法よりの平均再生速度を約15倍にスピードアップすることに成功した。また内視鏡用全方位光学系技術の開発では、大腸内視鏡に装着可能な使い捨て型全方位アタッチメントを開発し、動物実験による評価により基本機能の有効性を検証した。
特許出願数:国内出願数3件、外国出願数3件
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B)評価
計画の達成度
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:カプセル内視鏡では、ほぼ的確な技術確立がされたが、海外展開の戦略見直しも必要である。一方、大腸内視鏡用の全方位アタッチメントの開発では、その部材の試作・改良に時間を要したこともあり、期間中に臨床研究や安全性研究が十分に実施できず、計画に対し多少の遅延があった。臨床治験の要否の確認も含め、継続検討が必要である。
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知的財産権
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:パテントマップに基づいて、主要特許を着実に出願しており概ね評価できる。しかしながら、出願特許の管理と類似特許や周辺特許に関する精査は、今後も慎重に継続実施していく必要がある。
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起業計画
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:国内でのカプセル内視鏡の認可に合わせ、診断の際の最大問題点を改善する画像診断支援ソフトにて事業展開するために起業し、これに続き大腸内視鏡アタッチメントを開発する計画は順当である。既存の技術に対し差別化を図るために、技術(製品)の臨床的な意義を考える必要もある。
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新産業創出
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:診断支援ソフトおよび全方位ビジョン技術は、医療技術に留まらず、地震などの災害発生時の被災者救出等種々の場面での応用が可能な技術であり、新産業創出の期待度は高い。
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総合・その他
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:当初の目標である、カプセル内視鏡用の診断支援ソフト開発と大腸内視鏡用全方位アタッチメント開発)は、一部計画の遅れはあるが概ね順調に推移した。また、現時点での医療場面のニーズにも沿っており、ある程度の市場規模も期待できる。今後継続的に事業を発展させるために、さらなる臨床的な価値(例えば、センサー機能、サンプリング機能、体内でのカプセル位置の自動制御機能、他)の向上を追求した技術展開を期待する。
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