視点
未来を紡ぐ日本の科学技術と産学官連携へ
株式会社東京電機 新規事業支援担当/JST産学連携アドバイザー 友田 和美
国が産学官連携を政策的に推進するようになって、研究開発成果に基づく新製品や新事業の創出が大企業のみならず中小企業からも増え、大学の知的財産や安全保障貿易管理への意識も高まった。しかし、いまの日本は次代のノーベル賞が遠のくといわれる研究環境にあり、これまでの研究成果とオープンイノベーションによってもたらされた恩恵の流れが現在の日本を支えているといってもいい。もう一つ、私がこの世界に入ったころ、ムーンライト計画やニューサンシャイン計画といった過去の政策への批判を耳にしたが、その成果と名残からの研究・技術が、現在の日本のゼロエミッション実現への道を支えていることを、私たちは認識する必要があるように思う。いま、日本の知や技術の多くが海外流出や継続・継承の問題により失われようとしており、知の源泉の枯渇への歩みを止められていない。しかし、人類が宇宙で暮らせる未来には緑と水の豊かな惑星の平和と科学技術が大切であり、日本はそれを支えることのできる数少ない国であるし様々な連携・協力が多くを生み出してもいる。
未来を左右するこれからの研究開発や産学官連携の進化を切望するとともに、その支援について、これらのことも踏まえた政策と取り組みとなることを期待したい。