視点
人脈は引き継げるのか
福岡大学 産学官連携センター 産学官連携コーディネーター 客員教授/社会連携センター コーディネーター 中川 普巳重
産学官連携の現場において担当者が変わると関係性が希薄になることがある。人は人につながっているのである。事業の継続性を考えるとき人脈の移行が課題となるが、引き継ぎの挨拶をしただけでは人脈の移行はできない。
ではどうすればいいのだろうか。単なる挨拶ではなく「出会いの場」が必要である。そして、そこには人と人を「つないでくれる人」、つまりはコーディネーターの存在が必要となる。次に「つなぐ」とは何だろうか。「つなぐ」行為は、誰と誰をつなぐと良いのかを考える「マッチング」であり、マッチングする人のことを「事前にどんな人なのかをしっかりと伝えておく」ことである。また、連携とは「同じ目的を持つ者が互いに連絡をとり、協力し合って物事を行うこと」(広辞苑)とある。
ではつないでくれた人がいなくても連携が生まれる関係性はどうしたらできるのか。それは「つなぎきる」ことだ。「つなぎきる」とは何だろうか。それは、双方が会っている「時間」×「回数」を意識して「何度も繰り返しつなぐ」ことで、次の担当者に魅力を感じ、つながりたいと思ってもらえる状態まで持っていくことだ。
連携は常に人と人との信頼関係の上に成り立っている。自らが「信頼される人」となり「信頼のバトン」をしっかりとつないでいきたいものである。