巻頭言

北海道の希望を形にするために

地方独立行政法人北海道立総合研究機構 理事長 小髙 咲

写真:地方独立行政法人北海道立総合研究機構 理事長 小髙 咲

2022年10月15日

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地方独立行政法人北海道立総合研究機構(道総研)は、2010年に、道立の22の試験場や研究所を統合して発足した比較的新しい組織である。それぞれの試験場や研究所の歴史は古く、中には開拓期に遡るものもある。所掌する分野は農業、水産、森林、工業、エネルギー・環境・地質、建築と幅広く、職員数は約1,090人、そのうち研究職員は約730人と、地方の公設試験研究機関としては日本最大規模である。

道総研は、スローガンである「ほっかいどうの希望をかたちに!」にも表れているとおり、北海道の豊かな自然や特色を生かした産業の発展を、試験研究や技術支援を通じて支えることを使命としている。その強みは、データや知見の豊富な蓄積があること、生産現場に近く社会のニーズを汲み取りやすいこと、独創的な研究と実用技術開発の両輪を有すること、分野横断的な取り組みをしやすいことであると自負している。特に分野横断的な取り組みの推進は、道総研設立の重要な目的でもある。

さて足元の社会経済情勢を見ると、人口減少や少子高齢化の進展、新型コロナウイルスの影響の長期化、脱炭素化に向けた取り組みの加速、米中の対立、ロシアによるウクライナ侵攻、それによってクローズアップされた食糧安保強化の必要性など、様々な変化が進んでいる。これらはそれぞれ次元が異なり、影響も異なるが、不可逆的かつ構造的な変化を社会経済にもたらすものであるという点では共通ではないか。そうだとすると、「北海道の希望を形にする」という道総研の役割も、こうした変化を踏まえてアップデートし続けなければならない。

現在道総研は、2020年にスタートした第3期中期計画の中間地点にいる。そこでは、世の中の大きな流れや変化に対応しつつ、将来を見据えた研究開発を推進することを基本に据えており、上記のようなドラスティックな変化に対応できるものとなっている。またそのために、取り組むべき課題の選択と集中を図ることとし、具体的には「食」、「エネルギー」、「地域」の3分野を研究の柱としている。その下で、例えば「エネルギー」では、一部自治体との間で、地域特性に応じた再生可能エネルギー供給と高度な省エネ技術の社会実装を試行的に進めている。

実際には、「変化に対応し将来を見据える」こと自体がとても難しい。目指すべきものが可変だからであり、従って北海道という地域の立ち位置や道総研の守備範囲も変わるからである。このような視界不良の中にあっては、大学、他の研究機関、各種団体、民間企業、金融機関などとの連携、それも道内に限らない連携がこれからますます重要になっていくと考えている。今現在、道総研は道内外の22の組織との包括連携協定を締結しているが、今後は広い意味での連携の輪をさらに広げていきたい。皆さまにおかれては、冒頭に示した道総研の研究分野に関連して、あるいは北海道という地域に関連して何かあれば、是非道総研に声を掛けていただきたい。