特集防災と減災と被災後

四国から土木工学の変革を目指す

2022年9月15日

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今年4月、愛媛大学が中心となりDXを活用した技術や仕組みの開発を目的に、四国CX研究会(新しい視点で四国の土木「Civil Engineering」を変革「Transformation」する)を立ち上げた。土木に関わる企業とそれらを管轄する国土交通省四国地方整備局、自治体など41団体が参加した産学官の共同の研究組織で喫緊の課題に対応する。

土木業界は、若手人材の不在による慢性的な労働力不足と高齢化に悩んでいる。特に四国では急速な勢いで高齢化が進み、インフラの老朽化により維持管理が危ぶまれている。さらに暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火などの異常な自然現象によって生じる自然災害の増加も加わり、安全・安心なサービスの提供が危ぶまれる状態だ。

そこでこれらの課題に対し、IoT、AI、クラウド環境の整備などを活用し、デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活をより良いものへと変革するDX(デジタルトランスフォーメーション「Digital Transformation」)を目指す。

研究会を立ち上げたきっかけは、旗振り役の安原英明教授(愛媛大学大学院理工学研究科生産環境工学専攻)が研究するLPWA(Low Power Wide Area)無線技術を活用した斜面災害監視システムだ。

LPWAとは、低消費電力で長距離の通信ができる無線通信技術の総称のことで、従来の無線技術では満たすことができないカバレッジの無線アクセスを指し、低消費電力、低ビットレート、広域カバレッジが特徴だ。

現在、複数の企業がLPWAを使用したシステム開発を行っているが、各企業が独自の仕様で個々に開発しているため、それぞれの斜面に異なる企業が開発したシステムが導入されると、自治体で全体を管理することが困難になると予想される。

そこで、異なるシステムを一括して扱うことのできるプラットフォームとインターフェースを開発できれば、異なる企業のシステムが使われていたとしても、斜面変状計測・データ収集・管理を一括して行うことが可能になり一元管理ができる。企業も標準化されたプラットフォームに合わせて開発が可能となる。

四国CX研究会ではこれをテーマの一つに据えながら、さまざまなDX技術の活用を想定する。2022年度は、四つの分科会(①LPWA、②衛星・点群、③オープンイノベーション、④若手)を立ち上げ、それぞれの分科会で活動を進めていく方針である。

設立総会の様子

(本誌編集長 山口 泰博)