リポート

産学連携学会第20回大会 熊本大会 3年ぶりにリアル開催

2022年8月15日

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産学連携に関わる研究者や従事者らが研究成果を発表し、その妥当性を公開で検討・論議する産学連携学会第20回大会(主催:特定非営利活動法人産学連携学会、後援:文部科学省ほか)が2022年6月23日~24日、熊本市の市民会館シアーズホーム夢ホールで開催された。

開催地の熊本県は、2016年の熊本地震、2020年には人吉・球磨水害と立て続けに大災害に見舞われ、その都度、復興・復旧を行ってきており今も続く。そのことからも大会初日のシンポジウムテーマには「地域における災害対策・災害からの復興」を据え、株式会社熊谷組九州支店、九州電力送配電株式会社熊本支社からは地震後の復旧工事に懸命な努力に明け暮れた様子が発表された。

一方、熊本県を中心に西日本から東日本にかけて広い範囲で記録的な大雨となった2020年の「令和2年7月豪雨」は、熊本県人吉市および球磨村渡地区で球磨川が氾濫するなど洪水被害をもたらした。球磨川沿いに構える人吉温泉「清流山水花あゆの里」も広範囲に浸水したが、地域住民とともに復旧を進め、水害から1年2カ月を経た2021年8月には営業再開にこぎ着けた。シンポジウムでは、被災から復活までの経緯を紹介した。

地下水を軸とする熊本の水循環システムは、阿蘇から有明海にわたる数十キロ圏内の農地を支え、有明海・八代海は国内最大級の広い干潟を生み出した。水道水は一般的に、ダムや河川から取水することが多いが熊本の場合、豊富な水資源を育んでいるため水道水の大部分を地下水で賄う「水の都」と言われる。常にミネラルたっぷりの水が蛇口をひねると出てくるうらやましい環境だ。この水循環は、阿蘇山などの火山活動で長い年月を経て形成された火山性地質と年平均降雨量が、およそ3,000mmに達する山間地域での降雨の恩恵でもある。良質な地下水に恵まれ豊かな水の恩恵を受ける一方で、これら自然環境の特質は水害や土砂災害も多発させ、有明海・八代海での日本最大の干満差は高潮のリスク、さらに活火山の阿蘇山は噴火のリスクがつきまとう。

地域に根を下ろす熊本大学には、熊本特有の環境を生かすための、地下水循環、沿岸環境、減災型社会システム、地域デザインの4部門が配置された「くまもと水循環・減災研究教育センター」が設置され、熊本地震や人吉・球磨水害で被災した地域の復興を支援してきた。

コロナ下の影響で昨年、一昨年はオンライン開催だった産学連携学会。第20回大会となる今回は3年ぶりのリアル開催だ。5月ごろまでリアル開催の是非が検討されていたこともあり、セッション数も例年の6~7割ほどの規模だったが、久しぶりに参加した今大会では、なじみの顔や名前がタイムテーブルに記されていた。

第20回大会事務局を引き受けた熊本大学の小川久雄学長の挨拶では「コロナで交流会はありませんが、その代わり昼の休憩時間を90分取りました。時間に余裕を持たせたので、ぜひ町に出て昼食をとってください」。その言葉が印象的だった。

(本誌編集長 山口泰博)