巻頭言

福岡をエデュケーションバレーに!
九州をエデュケーションアイランドに!

一般社団法人福岡県中小企業経営者協会連合会 事務局長 古賀 正博

写真:一般社団法人福岡県中小企業経営者協会連合会 事務局長 古賀 正博

2022年7月15日

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福岡をエデュケーションバレーに! 九州をエデュケーションアイランドに!

福岡県中小企業経営者協会連合会が主催する「産学官ダイアログ」で小林専司会長の声が響く。「産学官ダイアログ」とは福岡の地場中小企業の経営者と大手企業の九州トップ、地元の大学責任者、国の九州出先機関のトップ、その他教育関連有識者で構成し「人づくり」に関して「そもそも論」を展開する場である。

さて福岡県中小企業経営者協会連合会は言うまでもなく経済団体である。しかし気が付けば年間1,000人ほどの大学生を地場企業や自治体で受け入れる九州インターンシップ推進協議会、世界で活躍する次世代リーダー育成を目指した高校生の合宿型グローバルキャンプ「On Your Mark」、既述の人づくりを根源から問い直す「産学官ダイアログ」の運営など様々な産学連携による人材育成活動に注力をしている。

なぜだろう?

慈善活動をしている訳ではない。真正面から経済活動に向き合うほどに人づくりがどれほど重要であるかにぶち当たるのだ。しかも歴史から学ぶことの重要性を実感しつつも、猛スピードで起こる技術革新をキャッチアップし、まだ見ぬ未来を持続可能性高く創造しなければならない複雑な現在地にあって、1人の優秀なリーダーの下で全員右へ倣えでは立ちいかなくなったことを実感しているからなのだ。そんな中で現在の日本の教育機関はリアルな社会から距離を置いた別次元に位置付けられていないだろうか? やや汚れた社会から児童、生徒、学生を隔離して聖なる場所にて純粋培養で育てる。それも一手だが「生きる力を育む」という教育の目的から明らかに乖離(かいり)してしまう。われわれ経済界はいわゆる学校現場に人づくりを任せてしまい、目線を外してきたことを猛省し、インターンシップやPBL(Project Based Learning)などでリアルな社会と教育現場に懸命に橋を架けているのだ。全方位から危機が迫る中にあってレジリエンス強化が求められている。強くあるためにはしなやかさが必要だ。現場と理論の往還の中でその力は育まれる。

「リアルな社会の素材と向き合ったプロジェクトベースの相互学習」これがわれわれの目指す産学官連携教育の基本スタイルだと考える。

エデュケーションバレー。

そこでは企業と学校の境界線がない。地場企業の課題は地元の学生が常に関わり、時にはプロジェクトリーダーを務めている。幼児教育の現場に小中学生がお世話役に入り、高校生のプロジェクト学習のメンターを大学生が行っている。高校や大学には主婦やビジネスパーソン、そしてシニアが普通に混在している。空き家はドミトリーに変身し海外からのお客様と地元の子どもたちが共に暮らしている。周辺の豊かな自然は学びの素材でもありながら、われわれの進化、研究の方向性が間違っていないか静かに見守っている。

全ての市民が生徒であり先生。消費者であり生産者である。

これはまだ構想の手前の妄想かもしれない。しかし手応えは十分感じている。