視点

産学連携におけるコンカレント開発のための言語化

新潟工科大学 地域産学交流センター リサーチ・アドミニストレータ 髙橋 正子

2022年5月15日

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技術相談に来訪された企業の方から「大学は歩く事典のような存在だ」と言われたことがあった。「そのこころは?」と尋ねたら、「自分は何から手を付けていいか分からないまま相談に来てしまったが、研究者は、話の中のワードを拾い、そのワードに対し、確定している情報か不確定なものか、注釈を付けながら説明されることに、事典のように感じた」とのことだった。その方は、新技術に挑戦しようとしていたが、これまでほとんど大学との接点はなく、意を決して一報いただいた企業だった。このようなフェーズの技術相談の場では数名の研究者と対話すると、企業として、これを試したいということが端的に定まることがある。そして検証する企業、関連知見を深化させる大学で役割分担が共有され、定期的な対話を継続するコンカレントな推進体制が合意されることが多い。これ以降は、齟齬(そご)のないように書面的な手続きを迅速に進めることになるが、本格的な共同研究契約に躊躇(ちゅうちょ)する地域企業は少なくない。ここで時間ロスをしないために、最近開設された関連省庁の知見を集めた「特許庁オープンイノベーションポータルサイト」は、PoC(Proof of Concept)取り組み事例も含まれており支援ツールになると思う。そして、そのポータルサイトに掲載されている「タームシート」を活用した言語化は、大学等の「知」に対して社会的な価値付けする意義が、企業に理解されるものと感じる。