海外

インドDST(科学技術庁)の産学連携プログラム

国立研究開発法人科学技術振興機構 前インドリエゾンオフィサー 青木 一彦

2022年5月15日

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国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)は、インドのDSTと戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)国際共同研究拠点(インド)などの協力を行っている。インドは科学技術の研究成果が産業界で実用化されることを重視しており、JSTのパートナーであるDSTも産学連携のプログラムを運営している。

■技術開発プログラム:Technology Development Programmes(TDP)

DSTの主な目的の一つは、様々な分野での技術開発を促進することであり、材料、装置、プロセスを含む技術開発プロジェクトを支援している。このプログラムは、先進/新興地域と伝統的なセクター/地域の両方で技術を開発することを目的とした活動を支援する。プログラムの下で、新鮮なアイデア/概念の実現可能性、有用な技術/製品への潜在的な変換について評価される。

①プログラムの任務

TDPの使命は、技術/プロセス/製品の概念実証について、実際の現場での検証とデモンストレーションのためのプロトタイプに変換することである。これらの技術の商業化にはさらなる評価/インキュベーションが必要であるが、それは技術開発プログラムの範囲に含まれない。プロジェクトの下で開発された技術の産業界への移転は、原則的には受け入れ機関の責任である。他方で既存の技術に対する段階的な研究開発の提案の支援について検討している。また、技術開発プロジェクトの一環として、製品およびプロセスに必要なソフトウェア/ITの設計および開発に関連するプロジェクトを検討する必要があるが、純粋なソフトウェア開発はプログラムの範囲に含まれない。

②プログラムの目的

特定された分野での革新的な技術開発のための研究開発をサポート。既存の技術のパフォーマンスと付加価値を向上させるための高度な技術の適用を促進。技術開発の分野で能力開発。

③重点分野

高度な製造技術(AMT)/廃棄物管理技術(WMT)/生物医学装置および技術開発プログラム(BDTD)/デバイス開発プログラム(DDP)/技術開発プログラム(TDP)/電気モビリティ(TPEM)のテクノロジープラットフォーム/科学遺産研究イニシアチブ(SHRI)

④TDPへの申請の適格者

技術開発作業/プロトタイプ構築を実行するための適切なインフラストラクチャ/設備を備えた学術機関/登録学会/研究開発機関/研究所で働く科学者/エンジニア/技術者が財政支援を得るために申請可能。

⑤実施の方法

技術開発イニシアチブのエリアの特定。技術開発活動を策定および実施できる専門家および機関の特定。科学技術ジャーナルへの広告による提案の募集とウェブサイトでの提案募集の開始。

⑥評価基準

提案の関連性と科学的品質。定量化された目標と成果物の明確なステートメントの可用性。開発終了時に利用可能なオプションを考慮した技術的実現可能性と経済的実行可能性。

⑦評価メカニズム

マンデート(業務の委託)に従って、提案の関連性と適合性を評価するための初期スクリーニング。幅広い協議を促進するためのピアレビュー。財政支援のためのそれぞれのコアグループ(PAC/EAC)による推奨。

■特許促進プログラム:Patent Facilitation Programme(PFP)

DSTは1995年に特許促進部門(PFC)を設立し、その後、特許促進プログラム(PFP)の下で、各州に計24の特許情報センター(PIC)を設立し、州レベルでの特許・著作権などの知的財産権(IPR)の保護に関する支援を行っている。これらのPICはネットワークを拡大するためにそれぞれの州の大学(IPCU)に知的財産セルを設立し、現在までに84のIPCUが州の様々な大学で設立されている。

①プログラムの目的

研究開発への重要なインプットとして特許情報を提供。学術機関および政府のR&D機関に対する特許/IPRの促進。政府へのIPR政策の提言。インド国内でのIPRに関するトレーニングと意識向上プログラムの実施。

②活動の概要

州議会に設立された24の特許情報センターへの財政的支援。州の科学技術評議会に設立された特許情報センターの年次レビュー会議。DST長官による常設財務委員会(SFC)の開催。各種の意識向上プログラム、全体ワークショップ、地域ワークショップ、ステークホルダーによる国家の知的財産権政策に対する全国ワークショップ。

③活動の詳細
  • IP/特許の円滑化:DSTは特許ファシリテーションセンターを通じて、学術機関や政府のR&D機関に代わって、インドやその他の国で特許やその他のIPR申請を提出する。これらの特許およびIP出願は、弁理士を通じて起草し提出される。また出願費用はDSTの担当部門が負担し、特許/IP出願は発明機関の名前で提出される。担当部門は受け取った全ての発明の開示について庁内で特許性の評価を実施する。
  • 特許およびその他のIPR出願の提出:DSTは特許ファシリテーションセンターを通じて、学術および政府のR&D機関に代わって特許を出願するために各申請の特許性を評価する。適切であると判断された申請は、特許出願を提出するために弁理士に送られる。
④IPRに関するトレーニング

特許ファシリテーションセンターを通じてIPRに関するワークショップを実施し、科学者、技術者、学者、業界の人々が参加する。また、各州の科学技術評議会および大学のIPRユニット(IPCU)の特許情報センター(PIC)の職員を対象とした、IPRおよび特許に関するトレーニングプログラムを実施する。

⑤2016-2019年の特許出願の促進の状況

特許ファシリテーションセンターを通じてDSTは、228件の新規の特許性を評価した。そのうち98件の申請が適切であると判断され、学術および政府の研究開発機関に代わって特許を出願するために新規の特許出願の提出書類を弁理士に送付した。2016年から2019年の間の期間での59件の特許(53件のインド人と6人の外国人による)の詳細はウェブサイトで公開されている。