特集地域とともに公立大学

地域と共に成長する大学を担う地域連携機構

名桜大学 地域連携機構長 前川 美紀子
名桜大学 健康長寿サポートセンター長 田場 真由美
名桜大学 看護実践教育研究センター長 清水 かおり
名桜大学 学長補佐(COI担当) 花城 和彦
名桜大学 学長補佐(北部地域教育担当) 高安 美智子

写真:名桜大学 地域連携機構長 前川 美紀子

2022年5月15日

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■地域に開かれ・地域と共に成長する

名桜大学地域連携機構は、2013年4月にエクステンションセンターとして、沖縄県北部地域ならびに沖縄県民の生活や文化の向上に寄与する、「大学と地域をつなぐ総合窓口」として開設された。2017年に「地域連携機構」へと名称を変更し、これまで以上に地域とのつながりを意識し、「地域に開かれ・地域と共に成長する」を目指している。

①基本方針

(1)大学の教育研究を広く社会に解放し、地域との連携を深め、生涯学習の促進及び地域貢献に努める。
(2)教育研究成果を積極的に地域社会へ還元し、地域への貢献及び地域との連携活動を推進する。
(3)開かれた大学として、地域住民及び地域活動と連携を深める。
(4)教職員、学生の地域貢献活動を支援するとともに、その成果を地域に公表する。
(5)自治体(沖縄県北部12市町村)との連携を双方向的に、地域の課題解決のため、連携及び提言を行う。

②具体的な活動

(1)公開講座、出前講座、学習支援、健康支援、現職教員講習及び高大連携などを推進する。
(2)地域住民に幅広い学習機会を提供し、その活用の促進及び充実を図る。

主な事業は、公開講座、地域出前講座、健康・長寿サポートセンター事業、看護実践教育研究センター事業、COC+継続事業、COI事業を含めた産官学連携事業の推進、北部教育研修センター事業、自治体職員の研修、北部生涯学習推進センター施設の管理運営など、地域住民のニーズに応じた生涯学習支援事業である。以下に各事業などについて紹介する。

■公開講座・地域出前講座

公開講座や地域出前講座は「やんばる(沖縄県北部の通称名称)」に位置する大学として、地域に根差した研究を地域へ還元する講座、健康スポーツに関する講座や体験学習型講座などを企画している。

地域の川を利用したナイト・カヌー探検
包括連携協定を結ぶFC 琉球とのコラボイベント

■健康長寿サポートセンター長 田場真由美

健康・長寿サポートセンターは、2012年12月、スポーツ・健康科学、看護科学、医科学に関する知見を応用し、科学的根拠に基づく健康支援活動を12市町村の人々に提供するための中核機能を果たすことを目的として設立した。主な活動として、「ヘルスサポート(健康支援活動)」、「食育活動」、「看護学科学生ボランティア(地域健康支援活動)」などがあり、学生が大学で学んだ専門知識を地域に積極的に健康支援という形で還元(展開)している。本活動は、教員と学生が協働するボランティアである。ヘルスサポートはカラオケ機能のあるJOYBEATにて脳トレエクササイズ、エアロビックなどの運動指導と健康測定の活動である。看護学生の活動は、自治会などの「朝市」での健康測定と教員による健康相談である。食育活動は、地域のボランティアと協同し児童に朝食提供しつつ、食育劇を実施している。さらに、他の健康支援活動への活動補助金で支援している。

■看護実践教育研究センター長 清水かおり

名桜大学を取り巻く「やんばる」は、高齢化に伴う認知症の増加、働き盛り世代の生活習慣病の増加など、様々な健康課題を有しており、人々が自分らしく健康に暮らせる地域づくりは名桜大学の使命の一つである。やんばるにおける保健・ 医療・福祉関連施設の看護系の人的資源は、やんばる地域の人々が受ける「ケアの質」に大きな影響をもたらす。このような背景を踏まえ、看護実践教育研究センターは地域の看護系人材の「ケアの質」向上を図り、やんばるの地に根差したケアの実践と研究、ならびに地域の人々の健康づくりを継続的に行うことを目的に2013年4月に開設した。本センターの具体的な活動は、研修会・研究会、事例検討会などを企画し、看護職の生涯学習の支援の場を提供することと、やんばるの地に根差したケアリング文化、ならびに社会の発展に貢献する看護系人材養成を目指した事業を行う。また、地域住民に対しても健康づくりや介護力を高める技術の支援など、お互いに学び合い交流するための「場つくり」の企画・運営を行っている。

■学長補佐(COI担当) 花城和彦

沖縄県の平均寿命のランクは悪化して久しく、健康寿命を見ても、特に男性では全国平均以下であり、高齢者の「健康の質」も良好とは言えない。一方、働き盛り世代の健康状況も悪化しており、労働者の有所見率は 69.5%(2020年度)と10年連続で全国ワーストである。このような健康課題を踏まえて、名桜大学では、青森県の弘前大学COIの連携拠点として、2018年から「やんばる版プロジェクト健診」を実施している。本事業は、名桜大学と北部12市町村の協力自治体による共同プロジェクトを目指して、「社会貢献」「学生教育」および「研究推進」への寄与を企図するものである。2018年以降延べ1,000人を超える健診参加者があり、健康への気付きを促す機会を提供している。また、健診データの蓄積により、疾患発症およびそのリスク因子と生活習慣との関連を明らかにし、疾患リスクに対する予兆法および予防法のモデルの開発を目指している。

■COC+継続事業 担当 島康貴

名桜大学では、「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+):2015年〜2018年」にて、地方自治体、企業、NPOや中間支援組織などと連携し、地域が抱える課題(ニーズ)を解決するため、産・学・官の協働による新産業・雇用創出などに資する地域定着・還元型の教育・研究・社会貢献事業を行った。これらの事業成果を生かすため、継続事業としてニーズの高かった公開講座を引き続き開講し、統計入門講座や観光産業活性化のためのインタープリテーション論および観光英語講座など社会人を対象に開講している。これらの活動は地域からの協力で講座の企画から広報まで行ってもらい、地域産業の関係者が主体となって運営している事業である。

インタープリテーション論で自然観察する様子

■学長補佐(北部地域教育担当) 高安美智子

北部広域市町村の委託を受け、名桜大学地域連携機構に2019年1月「北部教育研修センター」が設置された。本地域は、過疎化による活力の低下、貧困などによる児童生徒の学力問題、教員の確保など、深刻な課題が山積している。そこで、地域の教育文化の向上を図り、安心して子育てができる教育環境整備が不可欠となる。授業力の高い教員、心豊かで児童生徒に寄り添い学び続ける教員に、子供たちの未来を託したいというのが地域の願いである。本センターでは、地域の教育力の向上を図り、北部市町村教育委員会、国頭教育事務所、名護市立教育研究所などとの連携協力により、児童生徒の学力向上に資することを目的として、教員研修および教員養成講座を行っている。なお現在は、教員を志望する本学学生および地域の受講者を対象として教員養成講座を主事業として展開し、教員採用試験合格者数を伸ばすとともに、大学のシーズを活用した北部地域貢献事業として教育研修センターの実りある運営に努めている。

■自治体研修事業

自治体職員研修の委託事業として、本学教員が講師として研修を実施している。主な研修内容は、メンタルヘルスに関すること、説明力向上研修などである。

■まとめ

地域連携機構では、地域連携事業に関するプログラムの統括と総合窓口としての役割を担い、地域住民の生涯学習を支援していくと同時に、本学の教育・研究を通して、地域の課題解決に取り組み、地域と共に成長する大学を目指している。