特集産学連携に関する2022年度予算

科学技術振興機構 
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)、大学発新産業創出プログラム(START)について

国立研究開発法人科学技術振興機構

2022年3月15日

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研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)

■研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の全体像

研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)は、大学等で生まれた研究成果を実用化することにより、社会へ還元することを目指す技術移転支援プログラムである。研究開発の状況に応じて複数の支援メニューを設けており、「トライアウト」、「産学共同(育成型)/(本格型)」、「企業主体」がある(図1)。2022(令和4)年度においても、従前通り分野やテーマを問わず広く公募を行う予定(国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が担当する医療分野は対象外)だが、自然科学と人文・社会科学の融合による「総合知」を活用した研究開発についても支援できるよう対応を行う。さらに「トライアウト」および「産学共同」ではデジタル技術を活用した研究開発、「トライアウト」では地域の大学等における研究成果を活用した研究開発の促進も図る。また「企業主体」ではベンチャー企業・中小企業などによるハイリスク・ハイインパクトな課題の支援を目的として、制度利用の促進を図るべく見直しを行う。各メニューについて以下にご紹介したい。

図1
図1 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)

■トライアウト

トライアウトは、リスクの大きい「技術の実現可能性の検証」段階を対象として、研究者が中心となって行う試験研究を支援する。研究成果に着目した企業が、この成果を元に技術の実現可能性を判断することで、本格的な産学共同研究開発へとステップアップすることを期待している。特定の分野を指定せずに幅広く募集し、多様なニーズに対する有用な技術を広く社会実装につなげることを狙う。

研究者と企業に加え、「支援人材」(産学連携コーディネータなど)の参画を要件としており、事業化に向けて継続的に活動できる体制の構築も期待する。また、地域のニーズ解決に応えるため、2022年度公募より、研究開発体制に自治体等の地域関係者の参加も可能とする。

研究開発実施中はJSTの専門人材「マッチングプランナー」が各課題に伴走し、ステップアップを支援する。2022年度も引き続き全国5拠点で活動予定である。

■産学共同

産学共同は、育成型と本格型の二つのタイプから構成されており、実用化に不可欠な中核的技術の構築を支援する。育成型は、大学等における新規性・独創性のある基礎研究成果について「学」と「産」のマッチングを行い、将来的な社会実装に向けた共同研究体制の構築を目指す。共同研究相手の企業が確定していない企業探索段階で大学等研究者が単独で応募することができ、研究推進上の助言を与える推進アドバイザーを各研究課題に配置の下、相手先企業の探索、企業ニーズとシーズの擦り合わせによる技術シーズの検証、技術シーズの知財化を行い、本格的な産学共同研究を推進するための体制構築と具体的な研究開発計画の策定を図る。本格型は、大学等の研究成果に基づく顕在化したシーズの可能性検証及び実用性検証を目指し、産学共同での本格的な研究開発を実施する。2022年度公募においては、より多くの優れた課題申請がいただけるよう提案時の知的財産の要件について検討している。

■企業主体

企業主体は、大学等の研究成果の社会実装の推進を目的としている。2021(令和3)年度まで公募していたマッチングファンド型は2022年度から産学共同(本格型)へ統合し、企業主体は返済型に一本化する。

返済型は、大学等の研究成果を用いた企業の開発を、JSTのリスク負担によって後押しする制度で、これまでは主に大企業の大規模な開発が対象であった。2022年度以降は、イノベーション創出における大学発ベンチャー企業等の重要性の高まりを受け、ベンチャー企業・中小企業などによるハイリスク・ハイインパクトな課題の支援を目的として、制度利用の促進を図るべく見直しを行う。具体的には、開発リスクのJST負担などのこれまでの特長は残しつつ、近年のオープンイノベーションの普及や技術シーズの多様化、また産学連携を取り巻く環境変化に応じ、2021年度までの公募内容から、以下の項目を中心に見直す予定である。

主な見直し内容
  • ・支援対象企業:ベンチャー企業など(中小企業基本法の定義に基づく中小企業以外は対象外)
  • ・応募時の財務条件:要件を緩和
  • ・公募・選考スキーム:事前の応募相談を必須に
  • ・技術シーズ(特許):JSTへの独占的通常実施権の設定を廃止
  • ・技術シーズの対象:特許以外の知的財産権(著作権など)にも拡大

なお、2022年度公募による採択課題については、2023(令和5)年1月~の開発開始を予定している。

見直しの詳細は、A-STEPのホームページにて案内していく。現在、制度ご利用に関する相談も受け付けているため、ホームページの「お問い合わせ/ご意見・ご要望」よりお問い合わせ頂きたい。

大学発新産業創出プログラム(START)

■大学発新産業創出プログラム(START)の全体像

大学発の技術シーズを、より多くのより良い起業につなげるべく創設されたのが「STARTプロジェクト支援型」(2012年~)、および「SCOREチーム推進型」(2017年~)である。さらに2020(令和2)年からは学内での起業支援活動に取り組む大学を支援する「SCORE大学推進型」を開始し、2021(令和3)年度からは、内閣府が選定するスタートアップ・エコシステム拠点都市で、活動の中核となる大学を中心としたコンソーシアム(プラットフォームと称する)の起業支援活動を支援する「スタートアップ・エコシステム形成支援」を開始している。

このようにSTARTでは、技術シーズを持つ個々の研究者単位での起業を支援するプログラムと、組織を挙げての起業支援への取り組みを支援するプログラムの双方を運用し、起業による大学発技術シーズの社会実装へ取り組んでいる。

なお、2022(令和4)年度よりこれらプログラムは図2のとおり改称されている。プログラムの運用に変更はない。

図2
図2 START 各プログラムの新旧名称について

■各プログラムの概要

以下にSTARTの主なプログラムのご紹介をしたい。

①起業実証支援

ここではVCが事業プロモーターとなり、研究者とタッグを組んで事業化構想を立案し、経営ノウハウ・人的ネットワーク等を駆使しつつ、プログラム実施期間(2~3年)に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が支援する研究開発資金を原資として、技術シーズを社会実装前提の事業化レベルまで磨き上げ、起業を促進している。起業の際に課題となる、資金やノウハウ等をワンパッケージで提供するものとなっている。

②ビジネスモデル検証支援

起業実証支援よりさらにアーリーな段階と位置付けており、自らの技術シーズを基として、近い将来起業活動を起こしたい研究者が、起業知識の学習により、リーンスタートアップの方法論を学び、市場ニーズを聞きつつ自らの技術シーズを基にMVP(Minimum Viable Product)の試作などを行い、ビジネスモデルのブラッシュアップを行うプログラムとなっている。

③スタートアップ・エコシステム形成支援

2020年に内閣府が選定した「スタートアップ・エコシステム拠点都市」において中核となる大学・機関から構成されるプラットフォームに対し、アントレプレナーシップを有する人材の育成とスタートアップ創出へ一体的に取り組むための活動に必要となる支援を行う。技術シーズの実用化やアントレプレナーシップを有する人材の育成を支援することでスタートアップが持続的に創出されるエコシステムの構築を目的とする。