特集産学連携に関する2022年度予算

経済産業省 
産学官連携によるイノベーション創出に向けた環境の整備

経済産業省 産業技術環境局 技術振興・大学連携推進課・大学連携推進室 大石 知広

2022年3月15日

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経済産業省では、イノベーション創出に向けた環境の整備を重点的に取り組む政策の一つと位置付け、官民協調による次世代の産業を生む若手研究者の発掘支援や産学融合拠点の創出、J-Startupを中心とした研究開発ベンチャーエコシステムの構築・強化などを推進する。

■官民による若手研究者発掘支援事業(2022「令和4」年度当初予算案額21.7億円)【大学連携推進室】

わが国における企業の総研究費に占める大学への研究費の拠出割合は主要国と比較して低く、産業界が大学の機能・リソースを十分に活用できているとは言い難い状況だ。破壊的イノベーションにつながるシーズ創出をより一層促すためには、有望な研究者と企業をマッチングし、産学連携を加速させる仕組みの構築が必要である。

本事業では、目的指向型の創造的な基礎または応用研究を行う大学、公的研究機関などに所属する有能な若手研究者を発掘するとともに、若手研究者と企業とのマッチングを伴走型で支援。加えて、企業との共同研究などによる研究開発を積極的に支援することで、企業との連携を促進し、官民協調による若手研究者の発掘および育成の実現を目指す。

共同研究フェーズでは、大学等に所属する若手研究者が企業と共同研究等の実施に係る合意書を締結し、企業から大学等に対して共同研究等費用が支払われることを条件として、実用化に向けた目的志向型の創造的な基礎または応用研究を実施するものについて助成する。

マッチングサポートフェーズでは、大学等に所属し、企業との共同研究等の実施を希望する若手研究者が実施する、産業界が期待する目的志向型の創造的な基礎または応用研究を実施するものについて助成する。

また、企業との共同研究等の機会を創出するためのマッチング支援を実施することで、共同研究フェーズにおける企業との共同研究等の実施を目指す。

■産学融合拠点創出事業(2022「令和4」年度当初予算案額2.5億円)【大学連携推進室】

知識集約型社会へのパラダイムシフトが進展し、社会全体が価値創造への転換が求められているなか、イノベーションを興し、社会課題を解決していくためには「知」の集積が不可欠である。このため、「知」の源泉である大学が、産学連携のオープンイノベーションを通じて、未来社会へとつながる共通価値の創造に寄与していくことの重要性はますます高まっている。

一方で、産学連携の取り組みは、1998(平成10)年の大学等技術移転促進法(TLO法)の制定以降、一定の進展はあるが、いまだに個別技術の橋渡しが中心となっており、国際比較においても企業等による大学の機能・リソースの活用が進んでおらず、十分な成果を上げられていない状況にあると言われている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による新たな社会課題の顕在化や社会構造が複雑化し、不確実性が一層高まる状況下で、企業が自前主義から脱却し、オープンイノベーションを志向するために、大学と産業界が役割分担論を超えて、一体的で融合的に研究開発や人材育成を行う産学連携の新たなステージへと転換が求められている。

産学融合先導モデル拠点創出プログラム(J-NEXUS)では、各地域において大学と企業などのネットワークを創設し、シーズ発掘から共同研究立ち上げまでを一気通貫に支援することで、産学融合拠点の先行モデルを実現すること目的としている。事業開始の2020(令和2)年度は北海道地域と関西地域の2拠点を採択、2021(令和3)年度は北陸地域の1拠点を採択している。

また、地域オープンイノベーション拠点選抜制度J-Innovation HUB(Jイノベ)は、大学等が組成した全国の地域オープンイノベーション拠点の中で、企業ネットワークのハブとして機能しているなど、特色・強みが鮮明なものを選抜し、信用力を高めるとともに支援を集中するとともに、トップ層の引き上げや拠点間の競争を促すことを目的に、国際展開型・地域貢献型の2類型で評価、選抜するものである。2020年度の開始から2021年度までに全3回の選考を実施し、国際展開型9拠点、地域貢献型8拠点の計17拠点を選抜している。なお、別途2021年度補正予算事業「地域の中核大学の産学融合拠点の整備」において採択された拠点について、三つ目の類型としてプラットフォーム型として支援することを予定している。

■研究開発型スタートアップ支援事業(2022「令和4」年度当初予算案額25.8億円)【技術振興・大学連携推進課】

研究開発型スタートアップは、技術イノベーションの担い手として期待される存在で、その創出や成長のための環境整備が重要である。

しかしながら、研究開発に要する期間の長さ、資金調達の難しさ、成功ノウハウ蓄積の少なさなど、研究開発型スタートアップを取り巻く環境は依然として厳しく、自律的に創出や成長が繰り返される「エコシステム」の構築にはいまだ至っていない。特に、事業化の前段階におけるリスクマネー供給の強化が必要となっている。

そこで、本事業において、急成長の可能性を秘めた研究開発型スタートアップに対して、その事業段階に応じた支援を実施する。具体的には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じ、NEDOが認定したベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けた研究開発型スタートアップに対して、実用化開発や試供品製作等に係る一部の費用を助成する(STS*1)。また、事業会社や研究機関と連携して研究を行う研究開発型スタートアップに対して、事業化を進めるために必要な費用の一部を助成する(PCA*2)。さらに、政策課題から研究開発型スタートアップに適した研究開発テーマを設定し、ステージゲートを通して、事業化・成長可能性の高い研究開発シーズを実現可能性調査から段階的に選抜し、連続的に支援する(SBIR*3)。

*1:
Seed-stage Technology-based Startups
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*2:
Product Commercialization Alliance
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*3:
Small Business Innovation Research
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