視点

基盤技術と軍民両用

摂南大学 経済学部 教授、首都圏産業活性化協会(TAMA協会)会長 野長瀬 裕二

2021年11月15日

  • Twitterを開く
  • Facebookを開く
  • LINEを開く
  • 印刷ボタン

筆者は毎年多数のベンチャー企業の事業計画を拝見している。近年、そうした事業計画を拝見していると、軍民両用技術の問題を考えさせられる機会が増えている。

例えば、大学の技術を用いて素材や表面処理などの基盤技術に関するブレークスルーがなされたとする。

基盤技術領域の事業計画の難しさは、「この分野でこの技術は必要とされている」と書いてあっても、誰が報酬を支払ってくれるのか。その具体性に欠けていることが多いところにある。

基盤技術系のベンチャーの場合、「性能は良いがコストが高い」というコストベネフィット論にしばしば行き着き、民生品では受注に至らないことがある。

極寒・酷暑の環境、宇宙や深海で性能を発揮する製品については、「コストは高くても良いので高性能なら買うという顧客」が存在する。

この分野の技術は、軍民共用が視野に入ることが多い。ところが、研究室や大学発ベンチャーのガバナンスは、軍民共用が視野に入ってから体制整備しても遅い。

研究の構想を考えるところから、情報管理、学内産学連携部門との連携、研究体制・研究環境の整備を考慮すべき時代と言えるだろう。