巻頭言

再生医療:新しい治療法の選択肢を創る ~細胞から希望を!~

株式会社サイフューズ 代表取締役 秋枝 静香

写真:株式会社サイフューズ 代表取締役 秋枝 静香

2021年11月15日

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「いつになったら宇宙エレベーターで月に行けて、3Dプリンターで臓器がつくれるんだい!?」

2020年4月、化学同人社から出版された本のタイトルである。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で本屋さんでの立ち読みもままならない時期に通りすがりでふと目に留まり、手にした1冊。「何とマニアックな本!」と一瞬で惹(ひ)かれたこの1冊には、最先端テクノロジーの一つとして、3Dプリンターで臓器をつくる技術が紹介されていた。

失礼ながら通常の書籍コーナーではあまり目に留まらないかもしれないこの1冊になぜ惹かれたかというと、当社、株式会社サイフューズはまさに本のタイトル通り「3Dプリンターで臓器をつくる」会社として活動している再生医療のベンチャー企業であるからだ。

当社は2009年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの支援を受け(A-STEP/起業検証)、それまで大学で行っていた再生医療の研究について事業化を検証し、その後、2010年8月に九州大学発のベンチャーとして創業した。

創業後は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、 JSTなどの公的機関並びにベンチャーキャピタル(VC)や事業会社などからの支援をいただきながら、再生医療事業・創薬支援事業・デバイス事業の3本の柱を主軸に事業を進め、今年8月に創業11周年を迎えたところである。

私自身は当社の事業の柱となる再生医療の研究を始めて早?17年になる。研究開始当初は本のタイトル同様に「いつになったら臓器がつくれるのか」いや「本当に移植できる臓器をつくることができるのか」など、半信半疑なまま研究に携わっていたが、現在では開発したバイオ3Dプリンターを用いて、患者様に移植可能な臓器を製造しており、複数のシーズにおいて臨床試験を実施している。この10年の開発の進展は、アカデミア・医師・医療機関・企業の皆様をはじめとする多くの方々の多大なるご支援・ご尽力の賜物(たまもの)であると感謝している。

Cyfuse(サイフューズ)は、細胞(Cyto-)をフュージョン(fusion)させて臓器をつくることを目指し名付けた社名であるが、現在では多岐にわたる分野の様々な技術と知恵、ヒトがフュージョンすることで、事業活動が大きく進展している。そして、皆様からのご支援のお陰で「3Dプリンターで臓器をつくる」活動を通じ、ヒトが育ち、会社が育ち・育てられ、新しい社会・産業が創られていることを日々体感している。

病気やケガで苦しむ患者様、ご家族、医療機関の皆様に新しい治療の選択肢の一つを1日でも早くご提案できるよう、そして支えてくださっている皆様に恩返しできるよう、引き続き、想いを共にする仲間と共にチーム一丸となって社業に邁進(まいしん)していく所存である。

「細胞から希望をつくる!」

3Dプリンターで細胞から臓器をつくり、新しい医療の創出に貢献していけるよう、そして、日本初/発の本技術を世界に展開し、次世代の明るい未来・社会を創っていきたい。