特集大学発ベンチャー表彰2021

新エネルギー・産業技術
総合開発機構理事長賞
クラウドロボティクス・プラットフォームの開発・提供

ラピュタロボティクス株式会社 代表取締役 CEO モーハナラージャー・ガジャン
ラピュタロボティクス株式会社 代表取締役 CFO クリシナムルティ・アルル
ラピュタロボティクス株式会社 コーポレート部門 鈴木 美咲

写真:ラピュタロボティクス株式会社 代表取締役 CEO モーハナラージャー・ガジャン 写真:ラピュタロボティクス株式会社 代表取締役 CFO クリシナムルティ・アルル 写真:ラピュタロボティクス株式会社 コーポレート部門 鈴木 美咲

2021年10月15日

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クラウドロボティクスプラットフォームを活用し、物流現場におけるロボティクスの普及を加速させるベンチャー企業である。物流市場における顧客ニーズを的確に把握し最適なソリューション提供をハードおよびソフトの両面から確実に行えている点が評価された。

■ロボット制御の共通基盤「クラウドロボティクス・プラットフォーム 」

ラピュタロボティクス株式会社は、スイスチューリッヒ工科大学からスピンオフした、大学発のベンチャー企業です。2014年に設立以降、「Empowering lives with connected machines」というコア・パーパスのもと、世の中へロボットの導入を促進しています。共同創業者のガジャンとアルルは、「3K(きつい・汚い・危険)」の仕事は人間が着手するのではなく、ロボットによって業務を自動化させ、人間はより知的で高度な課題を解決すべきだと強く信じています。しかし、自動化への動きは半世紀前から始まっていたにもかかわらず、なかなか普及しませんでした。その主な要因として、従来の自動化は、大型マテハン機器をはじめ、ハードウェア主体となっており、初期投資が大きく、投資回収を考えると、実行が難しいからでした。

そこで当社は、誰もが簡単にロボットを利用できる社会を創りたいと考え、ソフトウェアの力で、柔軟性を持って複数種類・複数台のロボットを群制御できる共通基盤「クラウドロボティクス・プラットフォーム」を開発しました。また、当該プラットフォームを活用した、物流倉庫向けのピッキングアシストソリューション(ラピュタAMR)も併せて開発し、既に大手物流企業の倉庫内へ導入・実稼働させている実績があります。このラピュタAMRは、倉庫作業員のピッキング作業をサポートするヒト協働型ロボットで、倉庫管理システムと連携し、作業の生産性を2倍に向上させることに成功しています。また、ラピュタAMRの強みは、顧客の倉庫内にある既存資産を活用しながら、ロボットが導入でき、初期費用の抑制と短期間での導入を可能としている点にあります。

■オープンイノベーションとパートナーシップ戦略

クラウドロボティクス・プラットフォームの開発では、アンドロイドOSが携帯電話にもたらしたイノベーションと同様の「オープンイノベーション戦略」を採用しています。スマートフォンが流行する前、日本の携帯電話には共通基盤がなかったため、ハードウェアとソフトウェア、両方を全て自社で開発する必要があり、技術の発展には限界がありました。そのような状況下、Googleが 「アンドロイド」を開発したことで、共通基盤が生まれ、各社は自社の得意とする分野の開発に集中できるようになりました。当社のプラットフォームは、ロボット制御の共通基盤であり、ハードウェア・ソフトウェア開発者がそれぞれソフトウェア、ハードウェアをプラットフォーム上のカタログとして追加できる、オープンなプラットフォームにすることで、プラットフォーム自体が時間の経過とともに高機能化していくことを目指します。

顧客ごとの多様なニーズに合わせたロボティクスソリューションをパッケージ化して提供することは、様々な要素が複雑に絡み合い、想像よりも難しい状況にあります。ロボットが実稼働するまでの過程を整理してみると、大きく五つのプロセスに分けることができます。①ハードウェアの製造、②ロボティクスソフトウェアの開発を促す土台となるソフトウェアインフラの構築、③ナビゲーション機能をはじめとするコアソフトウェアの開発、④顧客の既存システムと当社のプラットフォームをつなぐシステムインテグレーション、⑤顧客倉庫へのロボット導入、導入後のオペレーションサポートです。

当社ではプラットフォームの価値をいち早く実証するため、まず前述の5過程すべてを自社で担当し、物流倉庫でピッキング活動を行うソリューション「ラピュタAMR」を開発しました。現在、「ラピュタAMR」の成功を踏まえ、あらゆるロボティクス製品の開発に当社のプラットフォームを活用し始めています。しかし、自社のみで、ハードおよびソフトウェア開発・システム統合・ロボット導入・運用サポートを一貫して実施する場合、社内リソースの限界により短期間で飛躍的にスケールすることは困難という問題を抱えています。そこで、図1の4パターンで、パートナーシップによる共同事業を推進して参ります。例えば、ハードウェアにおいては、ロボットやマシンを開発するメーカー、ソフトウェアにおいては、顧客ごとのニーズに沿って個別化されたソフトウェアデベロッパー、また、複数のシステムを統合する際はシステムインテグレーター(SIer)など、プロジェクトごとに必要なスキルセットを持つ最適なパートナーと共に、事業展開のスピードを加速させていきます。

図1
図1 パートナーシップ構築のための条件・スキルセット概要

当社のプラットフォーム事業は、ハードウェア、ソフトウェア、SIerなど、それぞれの市場を活性化させ、新たな雇用と革新性のある技術を創造することに貢献します。今後は、日本だけでなく、海外展開も視野に入れつつ、5年以内に世界中のロボットの10%を当社のプラットフォームに接続させ、ロボットの普及と自動化をさらに促進して参ります。