視点

女性研究者のキャリアと選択的夫婦別姓制度

北海道大学 産学・地域協働推進機構 産学連携推進本部 産学協働マネージャー 城野 理佳子

2021年9月15日

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「譲渡証書のサインは本名ですか?」

親しくしている女性研究者からのメールだった。彼女にとって初めての特許出願を行うことになり手続きを進めていたのだが、結婚して姓が変わっていたことをうっかり忘れていたのだ。北海道大学では結婚等で姓が変わった場合も旧姓使用が認められているので、HP(ホームページ)や名簿なども全て旧姓で表記される。しかし特別なことではない。研究者の世界においては氏名と業績が連動しており、国内外を含め流動性も高いことから、氏名が変わってしまうと論文等との紐(ひも)付けが難しくなるため、当然の対応といえる。また研究者にとっては自身の論文が他者の論文等に引用されることも重要な業績になるので、なおさらである。

まさかと思い確認したところ、案の定「特許上での発明者は戸籍上の氏名を使用」とのこと。ここにきて突如「選択的夫婦別姓制度」の壁が立ちはだかったのだ。

日本の研究機関ではまだまだ女性の研究者数が少なく、声は小さいかもしれない。だが、姓が変わることは女性研究者のキャリアや業績において不利になることは間違いないのである。様々な分野においても女性研究者が増えてくれば、これまで顕在化しなかった問題も見えてくるのではないだろうか。今後も事業化を目指して支援を続けていきたい。