巻頭言

新産業創出による「稼ぐ力」の向上

鹿児島県知事 塩田 康一

写真:鹿児島県知事 塩田 康一

2021年8月15日

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わが国では、本格的な人口減少、少子高齢化の進行、経済のグローバル化や技術革新の急速な進展に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による社会経済構造の変化など大きな変革期を迎えています。

本県経済も、新型コロナウイルスの感染拡大により大きな影響を受け、とりわけ中小企業・小規模事業者はいまだに厳しい状況にあります。鹿児島県としましては、引き続き、事業継続のための下支えなどをしっかり行っていくとともに、ポストコロナの持続的な成長につなげるため、基幹産業である農林水産業、観光関連産業の更なる振興を図りつつ、高い技術力を有する製造業の競争力の強化や将来を担う新たな産業の創出に取り組み、経済を発展させることで、本県産業の「稼ぐ力」を向上させ、県民所得の向上を図る必要があると考えております。

本年3月には産学官の関係企業・団体等が一体となって取り組むべき本県製造業の振興に係る方向性をとりまとめた「かごしま製造業振興方針」を改訂し、「独自の技術・ノウハウを生かした新製品・技術の研究・開発」や「地域資源等を活用した新産業分野への参入や起業」など、五つの方向性を掲げ、産学官の企業・団体等が一体となって、本県製造業の振興に取り組むこととしております。

また、製造業の新分野進出やデジタル化の推進、起業等の新たな産業による「稼ぐ力」の創出に向けた取り組みを支援するため、今年度「新産業創出室」を新設し、体制を強化したところであります。

新分野への進出などに取り組む中小企業等に対し、事業ニーズの掘り起こしから事業化、販路拡大までの各段階に応じた研究開発支援や伴走支援などを行うほか、生産性向上を図るためのIoT・AI等の導入支援やデジタル人材の育成支援などを通じて、中小企業等のDXの推進を支援しております。

また、今年度、鹿児島のシンボルである桜島と風光明媚な錦江湾を一望できる県庁最上階にコワーキングスペースを整備することとしており、テレワーク等の新しい働き方による事業活動の支援や、異業種や海外との交流を通じたイノベーションの創出・起業支援に向けた取り組みを開始したところです。

本県においても社会課題解決に向けたイノベーションが生まれつつあり、新型コロナウイルスとインフルエンザを一度に診断できる世界初のPCR検査装置を開発した大学発イノベーションが進んでおります。また、産学官連携につきましても、新製品・新技術の開発や新分野への進出に取り組む県内企業と県公設試験研究機関である県工業技術センターや県農業開発総合センターが連携し、鍛造加工を用いた防水型USB接続端子の製造技術の開発による共同特許取得や、自動走行制御システムを搭載した茶園管理機械の開発といった事例につながり、着実に成果をあげています。

さらに地域経済を牽引する中核企業等が取り組む、生産性向上や研究開発に向けた設備導入などに対する支援や、国・県の研究機関、大学、支援機関等との連携をより一層強化してまいりたいと考えております。

これらの施策を総合的かつ戦略的に推進していくことにより、本県産業の「稼ぐ力」を向上させてまいります。