シリーズURAの質保証制度

第3回 認定するURAの人材像と制度の概要

金沢大学 先端科学・社会共創推進機構・准教授 稲垣 美幸
大阪大学 名誉教授 池田 雅夫
京都大学 学術研究支援室長 佐治 英郎

2021年2月15日

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前2回の号で示したURAとURA質保証制度の導入の背景を踏まえ、今回はURA質保証制度で認定するURAの人材像と制度の概要について紹介する。

今回紹介する内容は、主に、文部科学省「リサーチ・アドミニストレーター活動の強化に関する検討会」でまとめられた「リサーチ・アドミニストレーターの質保証に資する認定制度の導入に向けた論点整理(平成30年9月)」を踏まえて実施された、文部科学省令和元年度科学技術人材養成等委託事業「リサーチ・アドミニストレーターに係る質保証制度の構築に向けた調査研究」での検討に基づくものである。若干堅苦しい説明と感じられるかもしれないが、日本のURAシステムが政策的に推進されてきたことから、正確な理解を共有することは大変重要だと考えるためである。

なお、この検討は、現在の日本のURAに関係する団体である、研究大学コンソーシアム(RUC)、学術研究懇談会(RU11)、大学技術移転協議会(UNITT)、多能工型研究支援人材育成コンソーシアム、医療系産学連携ネットワーク協議会(medU-net)、科学技術振興機構(JST)、リサーチ・アドミニストレーター協議会(RMANJ)、の全ての団体からご参画いただいた委員の皆様によって行われたものである。

URAの認定区分

まず、制度の全体を検討するにあたり、認定区分について検討した。東京大学が実施した「リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備」(スキル標準の作成)の報告書におけるスキル標準(以下、東大スキル標準)のレベル区分、文部科学省のリサーチ・アドミニストレーター活動の強化に関する検討会、上記7団体によるリサーチ・アドミニストレーター認定制度導入推進委員会での検討結果を踏まえ、認定制度について次のように整理した(図1)。

認定URAに申請の可能性のあるURA、認定URA、認定専門URAを認定制度の枠組みの中に位置付け、そのうち認定URA、認定専門URAを認定称号授与の対象としている。ただし、認定称号を有さなくても認定URAあるいは認定専門URAと同レベルの能力を有し、業務に従事するURAあるいはURA相当職もいるとの前提で制度は検討されている*1。なお、図における東大スキル標準の初級に対比される「認定URAに申請の可能性があるURA」は、称号授与の対象外ではあるものの、認定URAに求められるレベルの研修の前提となる基礎レベルの研修対象者とみなすことができることから、認定制度の枠内として扱うこととしている。

図1
図1 認定対象のこれまでの取り組みとの関係図

認定制度におけるURAの人材像

URA人材については文部科学省*2や研究大学コンソーシアム*3等において既に定義されている。しかしながら、現在多くの機関に配置されているURAが従事している多様な業務実態を踏まえた認定制度とするため、認定制度におけるURA人材を以下のように定義した。

URA人材とは

大学等組織全体を俯瞰しながら、学術的専門性を理解しつつ、自身の業務に関する専門性とセクターに偏らない能力を駆使して、多様な研究活動とそれを中心に派生する様々な業務に積極的かつ創造性を持って関わり、研究者あるいは研究グループの研究活動を活性化させ、組織全体の機能強化を支える業務に従事する人材。

この定義は、文部科学省の定義による業務範囲やRUCの定義における専門性や俯瞰能力に加えて、主体性や創造性を求めている点に特徴がある。

そしてこのURA人材像に基づき、認定URAと認定専門URAの人材像を次のとおり定義した。

認定URA

URAとして関わる業務全般の知識を一定レベル以上備え、かつ大学等、我が国の研究組織での一つ以上の中核的業務*4の経験を有し、研究者、研究グループの研究活動の活性化に主体的に関わる能力を備えた人材。

認定専門URA

URAとして十分な実績を有しており、一つ以上の中核的業務に関する卓越した能力を備え、組織内外の関係者と協力して研究者、研究グループの研究活動の活性化に重要な位置付けで寄与するとともに、組織の機能強化に貢献できる人材。

ここで示した人材像は、現時点のURAとして様々な業務に従事している人たちをできるだけ包含できるような説明となっているが、将来的にURA業務がさらに広範化、深化した場合はURAが従事する業務の定義とそれに基づくそれぞれの人材像が改訂されるという前提にたっている。

認定専門URAの審査における専門業務区分

認定専門URAについては、認定専門URA(○○)(図1を参照)となっているように、従事している業務(ここでは、専門業務区分と呼ぶ)ごとに審査を行うこととしている。これは業務内容によって実績の見え方や評価の視点が異なることを理由としている。専門業務区分の設定には、URAや雇用者からのニーズがあること、当該区分のスキルの一般化や標準化という観点でのシーズがあること、そして当該区分に関する審査員が一定程度おられることという実効性の観点で、5つを設定した。この専門業務区分についても、評価・審査体制の確立に時間を要する区分もあることから、現時点で実施可能な区分から認定を開始し、今後段階的に拡大していく方針としている。

  • 大学戦略の企画立案
  • プロジェクト企画・運営
  • セクター間連携
  • 知的財産管理と活用
  • 医療系

この認定制度では、職名に関わらず上記の人材像に適合している人であれば誰でも認定対象となるという前提で検討を進めている。したがって、この議論の過程では、学位の有無に関係なく人や事務職員の人、さらには大学以外の研究機関や企業における研究支援業務に従事している人などにも活用していただくことを想定した表現を使用している。漠然としているとか抽象的といった指摘を受けることも多々あるが、それはこういうことが理由の一つとなっているためである。

次回は具体的な認定スキームについて紹介するが、今回ご紹介した人材像がこの認定制度の土台となっている。

*1:
これは認定制度が能力認定制度であり、名称独占の対象となるような国家資格(医師免許や薬剤師免許など)ではないためである。
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*2:
文部科学省によるURAの定義
URAは、大学等において、研究者と共に(専ら研究を行う職とは別の位置付けとして)研究活動の企画・マネジメント、研究成果活用促進を行う(たんに研究にかかる行政手続きを行うという意味ではない)ことにより、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する人材(「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」(リサーチ・アドミニストレーションシステムの整備)事業平成23年度公募要領から)
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*3:
研究大学コンソーシアムによるURAの人材像
URAは、既存の教員職、事務職の垣根を超え、大学全体の研究および研究に関連する活動を高めるために活躍する人材として期待される。よって、教員職のような深く高度な専門性を持つとともに、事務職のような分野に偏らない知識と経験、大学等機関全体をみる俯瞰能力が求められる。その両者を両立できる人材を目指す。((議論のまとめ)高度専門人材・研究環境支援人材(URA等)の活用に関するタスクフォース)
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*4:
中核的業務:当該申請者が主として従事している業務のこと
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