視点

産学連携のデジタル化について考える

秋田大学 産学連携推進機構 伊藤 慎一

2020年11月15日

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本原稿を書いている現在でも、新型コロナウイルスによる影響は続いており、連日感染状況についての報道がされている。このような変化の中、産学連携活動においても、昨年の今ごろは全く想定していなかった点においてご苦労をされている方も多くいらっしゃるのではないかと思う。本学でも、特に研究シーズの紹介機会の減少、県境を越えた対面による技術相談の調整、産学連携プロジェクト実行のための計画変更などを余儀なくされており、おそらくコーディネーション実務に携わられる方々も様々な面でこのようなご調整をされているのではないかと拝察する。

このたびの状況を象徴する一つの視点として、新型コロナウイルスの影響によるパラダイムチェンジの結果、ビデオ通話を活用した遠隔会議に対する抵抗感が徐々に薄らいでいるのではないかと感じる。いや、むしろ必要に駆られながら各自ミーティングのセットアップができるようになりつつあると言ったほうが適切かもしれない。

しかしながら、私自身幾度かの遠隔会議を経験し、改めて、産学連携とは企業と大学の相互の信頼関係から形成されるべきものであると再確認した。

遠隔会議による場の提供をセットできるようになり、私たちは新しいチャネルを手に入れた。しかし、遠隔会議のコーディネーションプロセスをなぞる中で、重要な点、例えば産学間の協議がシームレスに行われていると教員・企業担当者双方に感じてもらえるようなマッチング経緯の共有、大学側と企業側の研究課題に対する問題意識の一致を双方に提案する技術、新規プロジェクトに向けた夢を語る役目など、対面時に意識せず行ってきたエモーショナルな共感部分をビデオカメラとチャット機能をとおして、どのように従前同様提供するかを非常に難しく感じている。

この先、アフターコロナ時代になっても産学連携にはデジタル化が取り入れられ、遠隔会議は継続されるかもしれない。その際、オンライン上でも産学双方の信頼をつなぎ合わせるような研究支援者の存在は重要であると思いたいが、そのためには大学・企業・ステークホルダー、関係者全ての満足感を高めるための手法を継続して学ぶことが必要なのではないかと想像している。遠隔会議がスタンダードとなった未来、研究支援業務に求められるスキルは新しいパラダイムを迎えるのだろうか。

産学連携によるプロジェクトはカスタムメイド式でone to oneマーケティングな側面が強い。それゆえ、相手の立場に寄り添った支援が重要となる。今この時代において、改めて産学連携担当者が果たすべき役割とは何かをもう一度考えてみたい。