巻頭言

「あゝ渺々の蒼穹に」―新型コロナウイルス感染症との闘い―

松本歯科大学 理事長 矢ヶ﨑 雅

写真:松本歯科大学 理事長 矢ヶ﨑 雅

2020年11月15日

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信州松本平に位置する松本歯科大学は、創立48年となる単科大学です。現在までに、累計4,500人の歯科医師、1,300人の歯科衛生士、300人の歯科技工士を社会に送り出しています。本学のキャンパスは、北アルプスの穂高連峰の高嶺から吹き下ろす爽やかな風の中、四季の移り変わりにつれて、様々な花々が目を楽しませてくれるなど、地域の人びとの憩(いこ)いの場ともなっています。

このような平和なキャンパスを襲った新型コロナウイルス感染症の脅威。本年2月の卒業式は挙行できたものの、4月の入学式は中止となり、全学年で映像授業を開始できたのは、5月の連休明けからでした。そして、全国的に感染が拡大する状況を鑑(かんが)みて、5月末には歯学部・衛生学院学生のみならず、全教職員および学生寮や食堂関係を含む関連企業職員全1,146人に対する健康調査および新型コロナウイルス感染症抗体検査を実施しました。抗体検査の結果、全員が陰性であったことから、6月1日からの通常対面授業・実習、大学病院における通常診療を再開しました。

本学は、外国人留学生を積極的に受け入れ(歯学部学生の約3割)、日本人学生と留学生が協調しながら切磋琢磨(せっさたくま)して勉学に励んでおります。そのような海外との交流による新型コロナ感染症の感染拡大が懸念されていました。そこで、春休みに自国に帰った学生については、日本入国後、本学のキャンパスイン(学生寮)で2週間の隔離予防措置を行ったことも、抗体検査の好結果に大きく影響したと考えています。

松本歯科大学は、1982年に障がい者歯科学講座を全国に先駆けて開設し、他の医療機関では対応が困難な心身障がい者や有病高齢者などの歯科診療を積極的に行ってきました。重度障がい者施設での巡回診療や集団保健指導、訪問診療、長野県の拠点病院としての活動を展開しています。なお、現在では地域連携歯科学講座と称して研究活動の幅を広げております。また、1989年には総合歯科医学研究所を開設し、独立専攻科大学院を開設し、科研費や国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による外部資金をいただき、硬組織研究のフロントランナーとして、世界に誇れる研究成果を発信してまいりました。

松本歯科大学の「建学の理念」を具体的に謳(うた)った校歌「あゝ渺々の蒼穹に」は、信濃の朝と目覚めから始まります。渺々(びょうびょう)とは、果てしなく限りなく広い形容、蒼穹(そうきゅう)は大空・天空です。信濃の朝と目覚めは、「転換期時代の目覚め」を指しています。これはまさに、新型コロナウイルス感染症と闘いながら、新しい時代の我々の生き方を追求しなければならない現状についても当てはまることではないでしょうか。

去る9月4日には、京都府立大学の塚本康浩学長を迎えて、全学スタッフ・ディベロップメント研修会を開催しました。塚本先生からは、新型コロナウイルスに反応するダチョウ抗体(IgY)がすばらしい武器と成り得ることを教えられ、人類が新しい時代を生きるために立ち向かっていく勇気をいただきました。そして、本学においては、京都府立大学、東京医科歯科大学およびJSTとの共同研究によるダチョウ抗体配合含嗽(がんそう)液(うがい液)の開発を目指しております。

「あゝ渺々の蒼穹に」(作詞・矢ヶ﨑康、作曲・山本直純)、本学ホームページにアクセスしていただき、お聴きいただけたら幸いです。新しい時代に向けてのメッセージが込められております。