視点

産学連携で山岳連携に挑む

北海道大学 産学・地域協働推進機構 城野 理佳子

2020年10月15日

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北海道には「蝦夷富士」と呼ばれる美しい姿をした羊蹄山がある。この山は日本百名山の一つでもあり、冬になると「ジャパウダー」と呼ばれるパウダースノーを求め、バックカントリースキーを楽しむ人が後を絶たず、海外からの観光客も多い。そのため、街中の看板や食堂のメニューには英語が併記され、スーパーには高級ワインが並び、語学堪能な店員も多い。

最近「ニセコ」と言えば、年度末に発表される公示地価額で「地価上昇率日本一」など、海外からの投資が注目されている。

ニセコエリアは羊蹄山の西側からニセコアンヌプリ周辺を指しておりニセコ町、倶知安町(くっちゃんちょう)などを含むエリアであるが、実は地価の上昇やリゾート開発が進んでいるのは倶知安町である。

このニセコと北海道大学は歴史的にもつながりがある。世界で初めて人工雪の結晶を作製したことで知られる北海道大学の中谷宇吉郎博士が、ニセコアンヌプリ山頂でゼロ戦の着氷実験を行っていたのだ。終戦直後、実験に使用した機体は投棄されてしまったが、後に倶知安風土館の調査で回収され、同館にて右主翼が展示されている。

また札幌農学校(現北海道大学)出身で、小説家として著名な有島武郎が所有した「有島農場」があったのは狩太(かりぶと)村(現ニセコ町)である。有島武郎の父親が開いた農場は、有島武郎が小作人(約70戸)に無償で解放し、小作人同士の相互扶助によって農場が運営されていくことを望んだ。その後、軽井沢の別荘で心中事件を起こし、有島武郎の功績は事件とともに封印されたが、ニセコ町には有島武郎記念館や、第2有島ダチョウ牧場など、「有島」の名前を冠した施設があり、地元で大切にされている。つまりニセコは、北海道大学との縁が深い土地なのだ。

このニセコとの関わりを深めるため、登山歴0年、最高齢67歳、北海道大学所属の3人と、地元の企業家1人からなる4人組が、果敢にも羊蹄山に挑戦した。8月9日、早朝5時半に真狩(まっかり)登山口を出発し、5時間半をかけて外輪山に到達することができた。山頂までは体力が及ばなかったが、素人4人組が登山に目覚めるには十分な達成感であった。そして俄(にわか)「山岳連携部」を結成し、産学連携チームで北海道の日本百名山制覇という野望を抱いてしまったのだった。(つづく…?)

羊蹄山