特集大学発ベンチャー表彰2020

経済産業大臣賞
労働現場で負担を軽減する装着型作業支援ロボット

株式会社イノフィス 代表取締役社長 折原 大吾

写真:株式会社イノフィス 代表取締役社長 折原 大吾

2020年10月15日

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事業会社・アカデミアとのアライアンスを構築し、顧客ニーズを製品改良に素早く取り入れる高速サイクルを実現しており、このような連携を生かして事業化を進めている点が高く評価された。日本発のマッスルスーツメーカーとして、大きく成長することが期待される。

人のためのロボット マッスルスーツ®

株式会社イノフィス(Innophys)は東京理科大学発のベンチャー企業であり、社名は生活を支援するイノベーションを起こす、という意味の「Innovation for Physical Support」からきています。

われわれが目指すのは、夢のようなロボットではなく、「人のためのロボット」を創出することです。そうすることで、世の中をより良く、生活しやすいものにしていく革新の実現に尽力、寄与していきたいと考えています。

少子超高齢社会の進行に伴い、さまざまな労働現場で、作業の省力化や負担軽減、人材確保が喫緊の課題となっています。「生きている限り自立した生活を実現する」をミッションに掲げる当社では、より多くの方が生涯にわたって活躍し続け、健やかに暮らせるよう、装着型の作業支援ロボットを開発し、販売してまいりました。特に、多くの作業者が腰の痛みに悩まされていることから、創業当初の2014年より腰部の補助に特化した「マッスルスーツ®」の販売を開始し、お客様のご意見を迅速に反映すべく、開発・改良を重ね、新製品を毎年リリースしてきました。

今後は世界に展開し、腰の痛みに悩まされることのない世界を、日本発の技術で実現していきたいと考えています。

ベンチャーとしての離陸

当社が成長の大きな節目を迎えたのが2019年です。同年11月に新製品のマッスルスーツ®Every(以下、Every)を発売しました。それまでの旧製品が1台約50万円、また同業他社製品も同程度もしくはそれ以上の価格で製品展開する中、機能、耐久性をそのままに、さらに軽量化を進め1台あたり税込みで15万円を切る価格で発売しました。その結果、これまで月間数十台だった販売台数が数千台まで一気に増加し、Everyを含めたマッスルスーツ®シリーズの累計の出荷台数は既に10,000台を越えています(2020年3月時点)。旧製品はアルミ製のボディでほぼ受注生産に近い形態で生産していましたが、Everyではフレームを樹脂一体成形し部品点数も大幅削減することでコスト低減が可能となり、この価格が実現できました。また量産という当社にとっても未知の領域も、リコーグループのリコーエレメックス株式会社に生産を委託することで実現できました。

実は、2019年以降、当社は次の企業ステージへと昇るために、製品のみならず、組織のカタチも大きな変化を遂げています。製品および販売チャネルを大きく変えるために営業・マーケティングの体制、計画生産に移行し、取り扱う物量も大幅に増加することに合わせ生産およびオペレーションの体制、活動を下支えする経理などの管理部門の組織も見直し、強化しました。結果としてこの1年間で人員は倍増し、別組織のようになっています。

また、これら一連の活動を具体的に実行に移すためには資金が必要不可欠ですが、前述の製品の開発、組織の見直し、開発した製品の販売のためのプロモーションを実際に進めるため、さらには中長期的な成長のため研究開発には資金力が不足していました。そこで2019年1月と12月に計2回、約8億円と約35億円の資金調達を実施しました。この資金調達においては事業会社およびグローバルな機関投資家からも出資をしていただき、計画を実行展開できるようになりました。このように、昨年以降当社は、「ヒト・モノ・カネ」の全てにおいて大きな変革を遂げ、次の段階へ向けて上昇を始めたところです。

日本から世界へ

わが国は少子高齢社会における労働力不足、介護負担増、高齢者の健康・自立・自尊に対する支援不足といった社会問題の先進国です。日本で発生するこれらの社会問題は近い将来世界各地でも発生することが予想されます。当社の製品は、日本の課題の中から生み出され、現場のニーズによって改良を重ねてきました。国内で当社の想定ユーザーとなり得る重労働業界の従事者は、2,000万人以上存在しており、今後の製品展開による市場開拓と成長の余地は大きいと考えていますが、海外においてはさらに大きな市場が存在し、それら市場の開拓と成長の余地も非常に大きいと考えられます。当社は課題先進国の日本で培った製品を基に、今後は台湾、中国、欧州、北米など海外へも積極的に事業展開して行きたいと考えています。