リポート

第1回 産学連携支援セミナー「SDGsと地方創生」

本誌編集長 山口 泰博

2020年08月15日

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新型コロナウイルスの感染拡大が収束を見ないなか、第1回産学連携支援セミナーがオンラインで開催された。会場を設定せず参加者はパソコンやスマートフォンなどのデバイスで気軽に参加できるこのスタイルはこれからの主流になりそうだ。

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)は2020年7月21日、ビデオ会議アプリのZOOM(ズーム)ウェビナーを活用し、産学連携支援セミナーを開催した。

第1回となる今回は、第9代金沢大学学長、第3代国立高等専門学校機構理事長などを歴任し、2017(平成29)年には秋の叙勲で瑞宝重光章を受賞するなどした林勇二郎氏。林氏は、JSTのA-STEPトライアウトPO(プログラムオフィサー)で持続可能な開発目標(SDGs)にも造詣が深く地方創生のヒントをSDGsに絡め講演した。

林勇二郎PO
北陸先端科学技術大学院大学から講演する林勇二郎プログラムオフィサー

講演の中で林POは、社会の発展―近代から現代にかけて―、地球環境問題と持続、国家間の格差―貧困と持続―、地方創成と持続と4章に分類し、前半では歴史的背景を説明しSDGsへ言及。地方創成( 社会の構造的持続性)、まち・ひと・しごと創成「長期ビジョン」と総合戦略(2015年-19年の5カ年計画)に触れ、人口減少問題の克服や「総合戦略」での基本目標における「しごと」と「ひと」の好循環づくりとして、「地方にしごとをつくり」、「安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、「時代に合った地域をつくり」、「安心なくらしを守り、地域と地域を連携」などについて述べた。

移動や人との接触機会の制約上、社会ではテレワークや在宅勤務、会議、日常生活でも同様だ。パソコンやスマートフォンでも利用可能でその気軽さもビデオ通信アプリを用いるコミュニケーション手法の加速を後押しする。

これまでのセミナーと異なるのは、オンラインという仮想空間に向かい、セミナーに関わる人々がそれぞれ別の場所に点在していることだ。スピーカーの林POは、石川県金沢市の北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)イノベーションプラザから、運営は東京都千代田区のJSTから行い、ZOOMで視聴できるライブ配信型セミナーのZOOMウェビナーで配信。参加者は、事前登録を済ませ、パソコンやスマートフォンなどのデバイスから視聴した。JAISTの会場では、コロナ対策を施し少人数だがリアル参加者も。

ZOOM ウェビナー
パソコンのモニターから見るセミナー(ZOOM ウェビナー)

研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)は、大学や公的研究機関などの「大学等」で生まれた科学技術に関する研究成果を国民経済上重要な技術として実用化することで、研究成果の社会還元を目指す技術移転支援プログラム。

大学などが創出する社会実装志向の多様な技術シーズの掘り起こしや、先端的基礎研究成果を持つ研究者の企業探索段階からの支援を適切なハンズオン支援の下で研究開発を推進することで、中核技術の構築や実用化開発などの推進を通じた企業への技術移転を行っている。ハンズオン支援を通じて産学連携活動のノウハウを提供し取り組む研究者のすそ野拡大を図るものだ。産学連携による研究開発の拡大と活性化のためには、大学などの研究成果に基づくシーズと企業ニーズの適切なマッチングを実現させ、全国での橋渡し活動の拡大と適切な産学共同相手の探索が重要だという。

またマッチングによる産学共同研究では、高い社会的インパクトが見込まれる研究開発を適切なマネジメントの下で実施することが求められており、研究開発の推進中にはより効率的な推進のため、POが研究開発課題全体のマネジメントを実行し適宜アドバイスをする。さらに個々の課題の推進状況に応じて、適切な専門家(アドバイザー)を配置して課題推進の強化を図っている。林POは、多彩な経験や知見からこのプログラムに欠かせない存在だ。

今後は産学連携のマッチング現場の意見も聞きながら、有益なセミナーを実施していくことで活性化を図っていく。

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