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お待たせいたしました
お待たせし過ぎたかもしれません

本誌編集長 山口 泰博

2020年07月15日

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本誌は昨年7月に表紙イメージをがらっと変えた。ウェブ版はこれまで一度もリニューアルされることなく、時が止まったかのように13年前の構造のままで運用されてきた。大量のコンテンツがあるわけでもないのに、縦3カラムを採用し、デフォルトの文字は小さく、行間は狭く…非常に使いづらい。コンテンツの配置も制約があるなど、作り手も作りづらいサイトだった。そこでこのほど全面リニューアルを敢行。まさに「お待たせいたしました。お待たせし過ぎたかもしれません」という表現がぴったりだ。

創刊100号では88ページも

2013年1月号の創刊100号では、「日本のがん研究から標的薬」、「大学の新技術と企業の知恵」、「融合が拓く新市場、グローバル戦略」と特集3本に加え、「“連携人”77人のメッセージ」を構成、23本の記事で88ページにもなる渾身の1冊となった。当時、40ページ前後での発行だったこの100号は過去最もページ数の多い号となった。これは、メジャーな経済専門誌や科学誌に匹敵する雑誌だ。

表紙
表紙の変遷

刷新とサイトリニューアル

筆者が着任した2016年4月、そのときから任期5年の間にやりたいことがすぐに二つ浮かんでいた。誌面デザインの刷新とサイトの全面リニューアルだ。

雑誌の体裁は、学会や論文掲載誌を彷彿(ほうふつ)させ目立ちにくい。実際、取材先では何度も地味と言われ、本誌の発行推進委員会からも毎回指摘を受けていた。雑誌は理解できない5年ルールといった慣例が立ちはだかった。サイトのオンライン・メディアが主体と言うが、構造がインターネットの黎明期を彷彿させるデザインとレイアウトだったため非常に読みづらく使いにくいサイトだったからだ。

法規・法律順守は前提だが、マスコミ業界やクリエイティブ業界は、非常に個性的でその個性によって生み出される創造物が話題になるなどして社会現象を作り上げてきた。刷新とリニューアルをするにしても、組織の文化やルールが立ちはだかり、常識人として借りてきた猫のように自制せざるを得なかった。

人類の天敵はウイルスと人である。しかし、人は人の中でしか幸福感を感じることはできない…待つこと3年、チャンスが訪れた。

旧サイト(左)とリニューアルした本誌サイト(右)

一般にも知らしめたいのであれば、いかにも手に取ってみようそんな気にさせなくてはならない、契約の問題やデザイナー不在の制約があったが、秘策を駆使し表紙デザインと一部の中面を変えていった。号ごとに気付かない程度に変更し、反応を見ながら変えていく。姑息な手段で半ばジョークのような作戦である。一時期、隔月もありか、そんな空気も流れた。雑誌は、季刊、隔月刊と発行間隔を少なくし、市場調査を実施しながら、行ける! と判断できれば発行間隔を短くしていく。テレビ番組も同じで、最初は深夜枠で実験し、人気が出ればゴールデンやプライムに格上げする。すでに発行している雑誌を隔月、季刊と間隔をあけるのは、いよいよ休刊もしくは廃刊へ向かうと捉えられてしまう。季刊にするなら廃刊か筆者1人で担当するしかないかと考えていた。いずれにしても着陸態勢に入れば誰もが手綱を緩め読者はおろか協力者も離れていくものだ。何とか踏ん張って費用をかけずに表紙のビジュアル変更で目には留まるようになったのではないだろうか。

本誌サイトは一度もリニューアルされることなく今に至っているが、7月予定で全面リニューアルする。リニューアルは、イベントであり広報のチャンスで、アクセス増のチャンスでもある。

過去記事はいつまで公開しておくべきか

インターネットの黎明期、ニュースなどの情報サイトでは、過去何年もの記事をそのままバックナンバーとして誰もが閲覧できた。本数が多ければPV増が期待でき媒体価値が向上するからだ。しかし社会面の記事を見た読者から「もう判決を受けて償いをしたのにいつまでもこの記事が残っている…」そんな電話やメールが増え始めた。過去記事をいつまで公開すべきかその基準がなかったのだ。

本誌サイトは今でも創刊時から全ての記事が公開され誰でも自由に閲覧可能だ。そのため15年前、10年前の記事にたどり着き、執筆者や当時の研究内容や製品にお問い合わせをいただく。だが過去記事はその当時の情報で、時の流れに合わせ人も情報も更新を続けている。全ての記事の最新情報を常に把握できるものではないし、個人情報を伝えることなどできない。

情報には必ず「付日(づけび)」を付けておくべきである。この情報が古いものか新しいものかが分かるようにだ。

その日付で、古ければユーザー自ら検索して調べていただく…と思っても検索に思いが至らないユーザーも少なからず存在する。過去記事の取り扱いは悩ましい問題だ。リニューアルを機に、html 記事の公開期間をどうすべきか検討の時期に入ったようだ。

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