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ユマニテクプラザを舞台に産学官連携の未来を開く

大橋学園グループ ユマニテクプラザ 統合事務局長 藤井 信雄

写真:大橋学園グループ ユマニテクプラザ 統合事務局長 藤井 信雄

2020年04月15日

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ユマニテクプラザの概要

近鉄四日市駅の改札を出て徒歩3分の交通至便な場所にユマニテクプラザ(鉄骨コンクリート造5階建て)は立地している。

目の前には幅員70mの中央通りが走り、道路の反対側には約30年前に四日市市の計画で複合開発された約3haの街区が広がっている。都ホテル四日市や、隣接するアピタ四日市店、109シネマズ四日市などからなる複合商業施設のララスクエア四日市、それに1,000台収容の立体駐車場が事業計画公募で採択された民間事業者により一体的に整備されている。それ以外の市民公園、じばさん三重(公益財団法人三重北勢地域地場産業振興センター)、博物館などについては全体計画に沿って四日市市により整備されている。

このような好立地の中で、2019年9月27日に開所式を開催したユマニテクプラザの整備は二つの基本理念に基づいて行った。

ユマニテクプラザ全景

一つ目は大橋学園グループの70年余の歴史を踏まえた取り組みである。つまり、職業技術教育のノウハウを生かした「時代の要請に応えられる有為な人材育成」である。二つ目は、ユマニテクプラザに結集している「三重大学北勢サテライト」、「東京大学三重サテライト」、「公益財団法人三重県産業支援センター 高度部材イノベーションセンター(AMIC)」、「大橋学園グループ」などの機能を十分活用していく取り組みである。つまり、ユマニテクプラザを舞台として連携強化を図り、相乗効果を高め、地域産業の高度化などに具体的に貢献していけるような「産学官連携による知の拠点づくり」である。

一つ目に関しては、2階と1階の一部を使って「教育センター テクノグローバル」の整備を行った。ここではファクトリーオートメーションにおいて重要な役割を担う、IoTやロボットのオペレーションならびにプログラミングができる人材を育成していく予定である。2019年11月から企業人材への研修を始めたが、より一層の研修内容の充実と認知度向上を図るべく現在取り組んでいるところである。二つ目に関しては、1階のロビーを中心に、各拠点が常に協議・相談しながら様々な活動ができるよう整備を行った。

三重大学北勢サテライトは北勢地域の産学官連携により地域課題の抽出・課題解決方法の提案・解決方法の社会実装を実施し、北勢地域から世界を変えるイノベーションの創出に取り組もうとしている。東京大学三重サテライトはビッグデータを瞬時に処理するデータプラットフォームを構築するとともに、駒場、本郷、柏の各キャンパスとテレビ会議で結び地域ニーズに対応した科学技術イノベーションを実現しようとしている。

三重県産業支援センターAMICは産学官連携による共同研究を促進させ、中小企業の技術課題解決や人材育成等の支援を行おうとしている。

また、知の拠点づくりを補完する機能として、3階を中心に貸研修室も用意してある。駅に近く、駐車場65台(別途月極立体駐車場60台)という利便性と、収容可能人員も多様な貸研修室が18室あり、今後の展開を支える大きな魅力であると考えている。

ユマニテクプラザ開設の経緯

ユマニテクプラザの整備は、老舗の大型家具店の閉鎖に伴い、その土地・建物を四日市市の産業活性化に資するよう有効活用したいと考えた「みえ大橋学園(大橋正行理事長)」が2017年6月に取得してから始まった。2017年の秋から老朽化した古い店舗部分の解体撤去をし、その後、2018年春から耐震性に問題のなかった増築店舗部分での大規模改修が始まり年末にはおおむね工事が完了した。

一方、三重大学において「北勢サテライト 知的イノベーション研究センター」を四日市市内に設置する計画が2018年秋ごろに具体化してきた。既に2003年10月から「じばさん三重」内に「四日市フロント」が開設され、三重大学と四日市市との連携で課題解決に取り組んできた蓄積があった。それらを踏まえて、三重大学が北勢地域(四日市市を中心に5市5町)の産学官連携の拠点を設置する取り組みは魅力的なものであった。

三重大学北勢サテライト

また、2018年11月23日には三重県と東京大学が連携・協力協定を交わしたことから、サテライト拠点の設置が検討されるようになり、東京大学の「地域未来社会連携研究機構 三重サテライト」を四日市市内に設置して、全学挙げて地域の課題解決に貢献したいとの意向が三重県に示された。あわせて、臨海部のコンビナート企業の事業所内に間借りして2008年3月に開設された「三重県産業支援センター 高度部材イノベーションセンター」が2018年度内に移転することとなり、複数の候補地について検討が行われていた。

最終的な絞り込みにおいて、ユマニテクプラザの1階が立地条件や機能の集積面で極めて有力とされたことから、みえ大橋学園としても総合的な観点からすべてをユマニテクプラザ1階に集結させることを決定し、具体的な調整を行った。そして、2019年2月22日に三重大学、東京大学地域未来社会連携研究機構、三重県、三重県産業支援センター、みえ大橋学園の5者は、それぞれが保有する資源を積極的に活用して行う産業振興や人材育成などにより、地域活性化や課題解決を図ることを目的に、連携・協力に関する協定を締結した。

初年度の取り組みと今後の展望

ユマニテクプラザ1階の産学官連携拠点では2019年5月から毎月1回5者協議を開催し、それぞれが取り組んでいる事業の紹介やそれに関する意見交換などを重ねてきた。また、市内企業の事業所・工場への視察を5者が揃って行うなど、対外的な情報発信面でも5者の一体感を強く意識した取り組みを重ねている。

一周年記念フォーラムの様子

2019年11月ごろからは、気になった案件が生じると関係者が即座に集まり、協議や相談を繰り返し、次への発展的展開につなげるようにしている。ユマニテクプラザ5者協定締結一周年記念フォーラムもその一例である。2020年2月20日に3階の貸研修室を活用し、企業や大学や行政から200人超の参加を得て、「産学官連携で実現する産業競争力の強化」をテーマに5人の方の熱の入った講演と参加者との具体的な質疑応答をしてもらい、今後の方向性について語り合ってもらった。

なお、人的配置の面では、三重大学北勢サテライトには企業出身の産学連携コーディネーターが4人在籍するとともに、三重県産業支援センターAMICには企業出身の各種コーディネーターが7人在籍している。筆者は四日市市役所出身で、産業界や大学などと長年関わってきた経験がある。産学官連携拠点にふさわしい体制と考えている。

ユマニテクプラザでは、企業の皆さんが各拠点を訪れ、相談案件について最もふさわしい人材の紹介を求めた場合、迅速に対応していけるよう取り組んでいく予定である。また、社会人向け大学院の講義やゼミが行われることにより、企業人材の知的欲求に応えられる場ができ、産業都市にふさわしい質の高い就労環境が整備されることになると考えている。

ユマニテクプラザとしては、早い段階で公的セクターではない民間事業者の自由な発想で産学官連携による成功事例を創ることが重要と考えている。そのためには5者それぞれのより一層の内容充実を図るとともに、それぞれに関連する様々なネットワークとの幅広い交流・連携に努めることで、産業活性化や地域活性化に貢献し得る産学官連携の未来を開いていきたい。

2020年4月目次

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