巻頭言

SDGs達成に向けたオープンイノベーションの推進

株式会社京都銀行 名誉顧問/公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構 理事長/公益社団法人関西経済連合会 副会長 柏原 康夫

写真:株式会社京都銀行 名誉顧問/公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構 理事長/公益社団法人関西経済連合会 副会長 柏原 康夫

2020年02月15日

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人口増加や高齢化、貧困、地球環境問題などの社会課題が山積する中、2015年に国連総会で「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、今、世界が、その達成に向けて足並みをそろえ始めている。

しかしながら、社会課題そのものは、地理的位置や自然環境、民族、文化、宗教などの違いにより多種多様かつ複雑であり、SDGsの達成に向けて、こうしたバックボーンの違いを念頭に置いて解決していくことが求められている。そのためには、大学、研究機関、企業、行政、住民らが連携し、互いの知恵や経験を共有して重層化させるグローバルなオープン・イノベーションを実現させていくしかないと考える。

けいはんな学研都市は、持続可能性という概念の源流とも言える、1971年に公表されたローマクラブの報告書「成長の限界」を発想の原点に、今から30年あまり前、奥田東・京都大学元総長を座長とする「関西学術研究都市調査懇談会」の提案により、国家プロジェクトとして、わが国および世界の文化・学術・研究の発展ならびに国民経済の発達に寄与することを目指し、京都、大阪、奈良にまたがる丘陵地に建設が始まった。

現在、情報通信・脳情報科学・ロボティクスの株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、多言語音声翻訳技術・社会知解析技術の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、CO2分離回収・貯留技術の公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)、レーザー技術の国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)、情報・バイオ・物質組成の3分野とこれらの融合領域の研究と教育を行う奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)、さらには国立研究開発法人理化学研究所のけいはんな地区においてiPS細胞創薬基盤開発連携拠点や脳科学・AIを用いた基盤技術の開発が進められているなど、わが国を代表する研究機関や大学をはじめ、オープンイノベーションを標榜する民間の研究所など約150の機関が集積しており、文化・学術・研究・産業・生活が調和した多様な機能を持つ都市として発展を続けている。

このけいはんな学研都市では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の採択を受けて、2016年から「i-Brain×ICT『超快適』スマート社会の創出グローバルリサーチコンプレックス」に取り組んできた。このプログラムでは、グローバル連携を重点戦略に据えて、脳情報科学分野の研究開発とその実証フィールドの構築を推進するとともに、国内外の多彩なプレイヤーの連携により、満足、達成、安心、安らぎ、感動、連帯など、「ココロ」の豊かさ向上に着目した「超快適」につながる異分野融合研究開発や大企業と国内外のスタートアップとの共同プロジェクトを推進してきた。さらに、国内外の優秀な人材を呼び込み、グローバルなオープンイノベーション拠点としての、けいはんなの評価を高めてきた。

2025年大阪・関西万博は、SDGsが達成される社会、日本の国家戦略Socity5.0の実現を目指している。けいはんなリサーチコンプレックスが開拓したグローバルオープンイノベーションの重要性や成果を、この万博で世界に伝えたい。

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