リポート

「熊本の未来を考える」をテーマにシンポジウム

本誌編集長 山口 泰博

2020年01月15日

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熊本地震発生から3年が過ぎ、復旧・復興も加速し日常生活も少しずつ落ち着きが見え始めている。
シンポジウムでは、JSTが支援した研究課題の成果発表とともに50年、100年先を見据えた未来の熊本を県民一人一人が考え、それを実現に結びつけるため、どうすべきかの指針を探った。

熊本の未来を考える

熊本の将来像を考えるシンポジウム(国立研究開発法人科学技術振興機構主催、株式会社肥後銀行共催、熊本県、熊本市などが後援)が12月2日、熊本市中央区の肥後銀行本店2階大会議室で行われた。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

企業や大学、自治体、金融機関を含めた産学官金の連携をより強化し、新産業の創出や地域課題の解決で活性化を促すことが重要と言えそうだ。

JSTの濱口道成理事長、文部科学省科学技術・学術政策局菱山豊局長のあいさつの後、名古屋大学の福和伸夫教授(同減災連携研究センター長、あいち・なごや強靭化共創センター長)が登壇、「過去の震災に学び日本をよく知ることで災い転じて福となす」をテーマに基調講演した。

福和教授は、熊本地震から3年が経たことに触れ、江戸時代初期と明治時代初期にも熊本で大震災に見舞われたことを例に、地震は繰り返すと力説した。南海トラフ地震は100~150年間隔で繰り返し発生していることを踏まえ、科学と社会の総力を結集して乗り越えるしかないと訴えた。

その後のパネルディスカッションでは、冒頭に、蒲島郁夫熊本県知事のあいさつの後、甲斐隆博会長(株式会社肥後銀行)、原田信志学長(熊本大学)、岩渕明学長(岩手大学)、谷口功理事長(国立高等専門学校機構)、飯豊聡取締役専務執行役員(損害保険ジャパン日本興亜株式会社)らをパネリストに迎え、JSTの渡辺捷昭顧問がモデレーターを務め、「熊本の未来を考える」をテーマに意見が交わされた。

その中で肥後銀行の甲斐会長は、およそ175万人いる熊本県の人口が、20年後には30万人減るとし、「1年に1万5000人ずつ減ることになりますが、財政規模の変化は気付きにくいものです。しかし少子・高齢化に対応するには生産性の向上と新規事業開発の2点が必要」と、先の変化を読んで今を考える成長の重要性を訴えた。

また2階ホワイエではJST熊本復興支援課題成果を紹介、熊本COC+事業展示などのポスターセッションを同時開催。多くの来場者が見入っていた。

展示、ポスターセッション
展示、ポスターセッション

九州で初めての協定

シンポジウム開催にあたり、JSTと肥後銀行が産学官金の連携を目的とした連携協定調印式を行った。金融機関としては九州で初めての協定。

肥後銀行の笠原慶久頭取は、産業と防災機能の強化に触れ、有事に必要なヘリコプターは平時では観光の遊覧飛行に、農作物の備蓄拠点は、平時では農業の体験型農園として活用するなど有効活用の事例を紹介し、それらに科学技術を取り入れたいとした。また、「県内の研究開発型の中小企業への支援やプログラムなどにも展開していきたい」と抱負を語った。

JST濱口理事長と肥後銀行の笠原頭取(写真右)
JST濱口理事長と肥後銀行の笠原頭取(写真右)

修復工事が進む熊本城

2016年の熊本地震で被災した熊本城では、昨年11月には地震で壊れた小天守のしゃちほこが復元され設置されるなど3年半ぶりに元の姿を取り戻した。

修復工事が進む熊本城天守
修復工事が進む熊本城天守

しかし、一部の櫓(やぐら)や石垣などは鉄骨架台などで支えられてはいるが、崩れ落ちたままで手付かずの箇所も見受けられ、震災の爪痕が痛々しい。しかし工事は着々と進められ天守内部は2021年に見学できる見通しで、城内の全ての工事は18年後の2037年ごろ終了予定だ。

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