特集ラジオを止めるな!

地元メディアとコラボした高知大学ラジオ番組

高知大学 次世代地域創造センター 准教授 吉用 武史

写真:高知大学 次世代地域創造センター 准教授 吉用 武史

2019年7月15日

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高知大学におけるメディアとの連携の位置付け

高知大学は、国立大学法人高知大学広報基本方針(2005年度策定)において「広報誌、公式ホームページ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、マスメディアの利用など、多種多様な広報手段を活用し、効果的な広報活動を展開する」と掲げている。本方針のもと、法人化直後からメディアとの連携を意識した活動を展開してきた。以下がその一部事例である。

  • THEこうちユニバーシティCLUB*1(株式会社エフエム高知)
    2013年1月6日~現在 330回(2019年5月7日時点)
  • Change The 高知大学*2(株式会社エフエム高知)
    2004年10月9日~2010年12月25日 全324回
  • 高知大学ラジオ公開講座*3(株式会社高知放送)
    2005年7月3日~2010年12月26日 全284回
  • 気になる健康ファミリードクター*4(株式会社高知放送)
    2005年4月4日~2019年3月25日 728回(2019年4月末時点)
  • おらんくの大学病院*5(株式会社テレビ高知)
    2019年1月13日~3月17日 全10回
  • ちっくと教えて 高知大学医学部健康よろず相談(株式会社高知新聞社)
    2013年6月14日~2017年3月3日 全92回

特に株式会社エフエム高知(FM高知)とコラボして企画する「THEこうちユニバーシティCLUB」と「Change The高知大学」は歴史が長く、延べ654回/12年以上の実績を持つ。その位置付けは、本学第3期中期目標「高知大学の教育研究活動や社会貢献活動等を積極的かつ効果的に情報発信することにより『地域の大学』としてのブランド力を高める」を達成するための計画の一部である。主な対象者はFMラジオが受信可能な高知県内の方々(一部山間部のみ困難)となる。対象者が幅広いため放送する内容も多種多彩であり、内容に合わせて出演者も学生、教職員、本学OB・OG、番組内容に関係するゲストなど、これまでに数え切れないほど多くの方にご出演いただいている。近年はインターネット環境があれば全国で聴くことのできる配信サービスも現れ、対象者の一層の拡大も予想される。本稿では、現在も放送を続ける「THEこうちユニバーシティCLUB」について詳述する。

THEこうちユニバーシティCLUBの実施形態

本番組は学内の広報企画専門委員会(月1回程度開催)にて内容が審議される。委員会では各学部やセンターなどから委員が選出され、全学の広報活動の情報共有を図っている。ラジオ番組は各部局が持ち回りで担当することから、委員を中心に所属部局内で発信したい内容を検討し、FM高知担当者と調整の上番組内容を決定する。収録は基本的にFM高知の収録スタジオで行うが、場合によっては学内や県内各地での収録もある。放送日時は毎週日曜AM9:30~9:55、出演者と松木亮アナウンサーの対談形式により進められる。

過去の放送は、高知大学ホームページに格納しているため聴取可能であり、収録時のようすは、松木アナウンサーのブログでも紹介される。また、聴取者を拡大する試みとして数十秒程度の次回予告動画を本学総務課広報係が作成し、大学ホームページやFacebook(フェイスブック)などで発信している。また、番組制作における費用を補うため、番組のスポンサーも募集している。2019年4月末時点のスポンサー契約は、地元企業5社(計495万円)である。スポンサー企業は、契約期間中は番組内にて紹介されるほか、松木アナウンサーのブログや高知大学広報誌に企業名を載せている。

THE こうちユニバーシティCLUB 2017 年1 月1 日放送
左から脇口宏学長(当時)、松木亮アナウンサー

中期目標の達成について

前述のように、広報基本方針においてマスメディアの利用による広報活動により「地域の大学」としてのブランド力を高めることを目指しており、各中期期間に定めた目標・計画の実績は国立大学法人評価委員会による評価対象となる。第1期全体の評価では、注目事項として「地元メディアを活用した『Change The 高知大学』、『高知大学ラジオ公開講座』を実施している。」、2009年度評価では「ラジオ番組『Change The 高知大学』特別企画番組として、『学長と高知県知事』『学長と国内大手企業代表取締役』の対談を放送し、地域の大学としての高知県との関わりや人材育成等の役割をアピールしている」と挙げられた。第2期では2012年度評価に「動画共有サービスを活用した配信やウェブサイトからも視聴可能なインターネットラジオ番組を開設するなどの取り組みを実施している」が注目事項として挙げられた。

その一方で、「地域の大学」としてのブランド力を高めることに寄与し得たかについては、評価自体が難しいところである。指標の一つとして、2018年4月に実施した本学の全学生に対する「地域の大学」認知度アンケート調査の結果では、67.5%の学生が認知していた。同様式による2014年4月調査時点では43.7%であり、4年間で顕著に増加していた。上記メディアとのコラボ以降の比較調査結果ではなく、因果関係の立証も難しいが、いずれにせよ多くの教職員が「地域の大学」としてのさまざまな努力を重ねたことの結果ではあろう。

おわりに

「Change The 高知大学」から続く「THEこうちユニバーシティCLUB」が12年以上の長期にわたり継続してきたことから、その意義について改めて広報企画専門委員会において議論が交わされている。当然ながら現在の実施形態は永続的なものではないが、高知大学に限らず「地域の大学」を標榜する大学にとって地元メディアとのコラボは極めて重要である。本学は昨年度から四半期に一度の定例記者発表の場を設けるなど、地元メディア関係者への情報発信と意見交換の強化に取り組んでいる。広報とはPublic Relations、つまり大学と社会とが相互に利益のある関係を築く戦略的コミュニケーションのためのプロセスである。一方向だけの情報発信では本来の目的は果たせないことから、情報の受け手である県民・国民、そして情報を仲介するメディア関係者との綿密なコミュニケーションがこれからの大学にとって重要課題となるだろう。