視点

初心忘るべからず-古い自己を裁ち切り新しいものに挑戦しよう

合同会社SARR 業務執行役員 松田 一敬

2018年2月15日

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650年前、能を大成した観阿弥世阿弥が残した有名な言葉に「初心忘るべからず」がある。

能楽師の安田登氏によれば、「初」という字は「衣」と「刀」からできていて、元の意味はまっさらな生地(衣)に初めてはさみ(刀)を入れることだそうだ。つまり「初心忘るべからず」とは、「折あるごとに古い自己を裁ち切り、新たな自己として生まれ変わることを忘れるな」ということ。自分が持っていることを裁ち切り、常に新しいことに挑戦する勇気が必要と説く。

人間も年を取ると「もう年だから」とか「今までこうだったから」と現状維持を選択してしまう。そんな甘えを戒めている。この姿勢こそ、今、大学や産学連携に最も求められているものだろう。

人も大学も、存在する限り変化なくして生き残れないし、大学は進化する必要があるが、国立大学を中心に旧態依然の仕組みや慣習が跋扈(ばっこ)し、時代の流れから取り残され、海外との差は開くばかり。

今ある旧弊を捨て、目指すべき大学はどういうものか、真正面から挑戦する勇気を持って前に進んでいこう。